本日、検証するのは、YouTube広告で流れてきた「プロジェクトZERO」という投資案件についてです。
実在する法人による投資プロジェクトですが、不思議な点が多く見つかりましたので、以下にまとめていきます。
プロジェクトZEROのYouTube広告
こちらの案件、入口はYouTubeで流れてきた動画広告です。
カーボンクレジット市場への投資について、イラストで説明された1分30秒ほどのCMです。
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8万円?!
ほんとに面談参加するだけで、8万円もくれるの?
広告動画の広告主について
YouTubeで配信されている広告動画の情報を確認すると、広告主が「株式会社ロロ」という会社であることが分かります。
検索してみると、インターネット広告運用を行っている「株式会社ロロ」という会社が、東京都新宿区にありますので、この会社が広告出稿元の可能性があります。
さらに、アカウントのチャンネルを確認すると、「運営事務局」というアカウント名で、サムネイルには女性の口元から下だけが写った写真が使用されています。
企業広告を出稿するアカウントとしては、非常に違和感を覚えます。
カーボンクレジットについて
カーボンクレジットについて、知識を持ち合わせていませんので、少し調べてみました。
カーボンクレジットは、温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出削減や回収に成功したことを証明する取引可能な「証明書」のようなものです。
企業は、温室効果ガスの排出削減や回収プロジェクトを行い、国際的または国内の認証機関(例:VERRAやゴールドスタンダードなど)による審査を受け、その基準を満たしていると認定されれば、カーボンクレジットが生成されます。
このクレジットは、企業間で取引可能となり、排出量削減のための資金調達や環境貢献の手段として活用されます。
仕組み
例えば、Aという企業が植林プロジェクトを通じて温室効果ガスの削減に取り組むと、その削減量に基づいてカーボンクレジットが発行されます。
このクレジットは市場で売買可能であり、他の企業が購入することでその削減分を自社の排出量に充当することができます。
A社
温室効果ガスの排出削減プロジェクトを実施、その削減量によって認証機関からクレジットが発行され、そのクレジットを売却することで利益を得ます。
B社
温室効果ガスの排出量を十分に削減できないので、A社のカーボンクレジットを購入し、それをもって排出量の埋め合わせ(オフセット)を行えます。
こういった、動きにより、全体としての温室効果ガス削減が促進されるというわけです。
投資としての可能性
個人が、カーボンクレジット市場に参加するためには、環境関連のETFやファンドへの投資、カーボンクレジットの直接購入などがあるようです。
しかしながら、カーボンクレジット市場は未成熟であり、クレジット価格は需給バランスや政策変更により大きく変動するリスクがあります。
さらに、流動性が低いため、取引の難易度が高くなる可能性もあります。
取引を行う場合は、十分なリサーチを行い、信頼できるプラットフォームを利用することが大事だと考えられます。
プロジェクトZERO セールスページについて
動画をクリックして飛んだ先のページは、テキストと登録フォームのみという、非常にシンプルなページです。
GX(グリーントランスフォーメーション)事業に関する情報や、資産形成の情報を送ってくれるということのようです。
ZEROプロジェクト サーバー・ドメイン情報
以下、2024年12月9日時点のサーバー、ドメイン情報です。
ドメイン | pzero-asp.com |
サーバーIP | 162.241.194.206 |
ISP | Network Solutions, LLC |
ドメイン取得日 | 2024年6月26日 |
SSL証明書の種類 | pzero-asp.com=Let’s Encrypt utg.pzero-asp.com=Google Trust Services |
ドメイン取得は、今年の6月。
約半年前に海外ドメイン業者で取得されており、サーバーがあるのも海外です。
ZEROプロジェクト 特定商取引法の表記
以下「特定商取引法に基づく表記」に記載されている項目の一部です。
運営 | カーボンゼログローバル株式会社(プロジェクトZERO運営事務局) |
運営責任者 | 増澤 京太 |
資本金 | 2,000万円 |
住所 | 東京都港区北青山2-7-13 プラセオ青山ビル3F |
メールアドレス | info@pzero-asp.com |
販売価格 | プロジェクトに関するメールマガジン:0円 カーボンクレジット発行森林 個別相談:0円 森林 土地取得に関するコンサルティング(カーボンオフセット、認証取得支援など):22万円~220万円 |
運営元は、「カーボンゼログローバル株式会社」という実際に存在する法人ですが、同社のホームページを深堀りすると、様々な疑問が湧き上がってきました。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられています。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
カーボンゼログローバル株式会社とは
運営元とされている「カーボンゼログローバル株式会社」は、カーボンクレジット事業を行う実在する会社のようです。
カーボンゼログローバル株式会社
・法人番号指定年月日 平成27年(2015年)10月5日
・法人番号 3010001121089
・本店又は主たる事務所の所在地 東京都武蔵野市境南町2丁目3番14-910号グローリア初穂武蔵境
法人番号の指定は2015年(平成27年)10月5日から始まった制度ですので、「カーボングローバル株式会社」は、それ以前から存在していることになります。
(ホームページには1976年2月設立の記載あり)
特商法との矛盾点
同社のホームページ(https://carbonzero-global.com/)を見てみると、「ZEROプロジェクト」の特商法との矛盾点が浮かび上がってきます。
まず第一に、「カーボンゼログローバル株式会社」のホームページのどこにも「プロジェクトZERO」といった記載が見当たらないのです。
また、無料の情報配信サービス(メルマガ)を行っていることも記載がありません。
同社の公式サイトは、国内のサーバーに格納されており、ドメインも国内業者で、今年の6月27日に取得されています。
なぜ「ZEROプロジェクト」のページは、あえて海外業者でドメインを取得し、海外サーバーへ格納されているのでしょうか。
「ZEROプロジェクト」の特商法では、資本金2,000万円となっていますが、「カーボンゼログローバル株式会社」のホームページでは、資本金5,000万円(準備資金も含む)と表記されています。
参照元:https://carbonzero-global.com/information/
準備金が3千万てこと?
これだけ矛盾点が浮かび上がってくると、「ZEROプロジェクト」と「カーボンゼログローバル株式会社」に関係性があるのか分からなくなってきました。
カーボンゼログローバル株式会社について
「ZEROプロジェクト」と「カーボンゼログローバル株式会社」との関係性は謎のままですが、一応「カーボンゼログローバル株式会社」についても、簡単に調査してみました。
同社が現社名となったのは、今年の8月で、その前は「株式会社日米投資ドクター」という社名でした。
現在の会社所在地は、東京、青山のシェアオフィス「アラマンダワークコート」となっています。
「アラマンダワークコート」は、高級シェアオフィス・コワーキングスペースです。
レンタルオフィス、フリーデスク、バーチャルオフィスのプランがあります。
社名変更を行った今年の8月から、本格的にGX事業に取り組みだした会社なのでしょうか。
調べても、同社によるGX事業の記事や関連ページなどは見つけることが出来ませんでした。
ホームページに代表取締役社長の氏名が記載されていないことなど、いくつか気になる点はありますが、新しい事業を始めたばかりで、記載漏れなどの可能性も考えられます。
プロジェクトZEROの無料情報に登録してみたら
ここまでの検証で、すでに「プロジェクトZERO」への興味を失ってしまったのですが、乗りかかった船ということで、とりあえず無料情報を受け取ってみることにしました。
情報登録後には、さらにLINE登録を促されました。
LINEアカウントは「秋口慎太郎/プロジェクトZERO」というアカウント。
「プロジェクトZEROオンラインセミナー」というセミナー動画が送られてきたので、約50分の動画を視聴してみました。
動画に登場する2名の男性は、特商法の「増澤京太」でもなく、LINEアカウントの「秋口慎太郎」でもありません。
いくつも名前を持っているのでしょうか?
主に、株式会社MOBOのハセガワという男性によって、「ZEROプロジェクト」の説明が行われました。
動画内容を超要約すると、「カーボンクレジット発行で利益を得ることができる!」しかも、試算では、なんと年利70%!
といった感じです。(超ザックリ)
「2028年以降、GX推進法により需要が高まる」「高い収益性」「社会貢献」「ベトナム林業に個人参入」などといった理由から、カーボンクレジット購入による投資をすすめるセミナー動画でした。
さらに、詳しい説明を希望する場合、「オンライン個別説明会」へ申し込むことになります。
この「個別説明会」に参加すると、広告動画にあったようにPayPayポイント80,000円分プレゼントを受けられるのかと思いましたが、そのような表記はどこにも見当たりませんでしたし、動画内でも言及されませんでした。
8万円分のポイントはどうすれば受け取れるのでしょう??
無料セミナーだけでお腹いっぱいになりましたし、全く食指が動かなかったので、個別説明会はパス。
ここで終了。
プロジェクトZEROの口コミ・レビュー
検索しても、口コミなどは見つけられませんでした。
参加された方は、ぜひ感想をお寄せください。
プロジェクトZEROの総評
カーボンクレジット市場は新しい市場であり、今後の国際情勢に大きく左右される可能性が高いため、リスクの高い投資であると言えます。
また、「カーボンゼログローバル株式会社」についても、実績や信頼性に関する情報が不足しているため、慎重な判断が求められます。
もしカーボンクレジット市場への投資を検討される場合は、信頼性の高いプラットフォーム(例えば、三菱UFJ国際投信など)を利用することがより安全ではないかと思います。
以上、「プロジェクトZERO」についての考察でした。