本日の検証案件は、全自動クイックシステム「QUICK」という投資システムです。
完全自動で平均月収300万円という、信じられない利益を生み出すシステムは本物なのでしょうか?
QUICK セールスコピー
まずは、セールスページから、気になるコピーを拾ってみます。
引用元:https://quick-spoffer.jp/
- 毎日10万円をどこよりも早く、しかも自動で
- 毎秒利益を生み出す超高速システム
- 投資経験一切不要
- スタートボタンを1タップ!たったそれだけで利益を生み出し続ける完全自動投資システム
投資の知識がある方なら「完全自動で、毎日10万円の利益を生み出す」ことが、現実的でないとお分かりいただけるでしょう。
ページ内には、以下のような根拠のない主張も見られます。
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引用元:https://quick-spoffer.jp/
一体、どこの機関が調べた、どんなランキングでNo1なのでしょうか?
QUICK サーバー・ドメイン情報
以下、2025年2月14日時点のセールスページのサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | quick-spoffer.jp |
サーバーIP | 157.7.107.114 |
ISP | GMO Internet,Inc |
ドメイン取得日 | 2024年11月21日 |
SSL証明書の種類 | Let’s Encrypt |
ドメイン取得から3ヶ月未満なことから、リリースから期間が経っていないと思われます。
さらに、同サーバーには、STAR.system(スターシステム)という、投資案件も格納されています。
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検証記事を読んでいただければ分かりますが、STAR.system(スターシステム)と「QUICK」は非常に似ています。
おそらく同じ組織によって、同じサーバー内で運用されているのでしょう。
quick-spoffer.jpドメインの取得者は「本田杏子(Kyoko Honda)」となっています。
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メール登録を行った後に案内される、投資システムページでは、別ドメインが使用されています。
ドメイン | quick-tool.jp |
サーバーIP | 90.156.206.160 |
ISP | LLC masterhost |
ドメイン取得日 | 2024年10月17日 |
SSL証明書の種類 | SSL証明書なし |
投資システムが格納されているサーバーがあるのは、ロシア。(STAR.systemもロシアのサーバーを利用)
投資システムなのに、SSL化(暗号化)されていないというありえない仕様です。
こちらのドメイン取得者も、「本田杏子(Kyoko Honda)」です。
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日本の会社を通してドメインを取得しているのに、サーバーは、わざわざ海外サーバーを利用しています
ドメインが日本国内で取得されている一方で、ページやシステムが海外のサーバーに置かれている場合、購入者にとっては信頼性が低いと言わざるをえません。
このような構成は、販売元の身元を隠すため、日本の法律や規制の監視を逃れるためといった意図がある可能性があるからです。
QUICKの特定商取引法の表記
セールスページに記載された特商法の一部を書き出してみます。
会社名 | DTH Co., Ltd. |
代表者名 | Kyouji Sayama |
メールアドレス | information@quick-systemtool.jp |
所在地 | 46/F & 56/F, The Bitexco Financial Tower, Ha Trieu, 36 Ho Tung Mao, Ngo Duc Ke Streets, Ho C9/F, ARTHALAND CENTURY PACIFIC TOWER, 45th Avenue corner 4th Avenue corner 30th Street, E-Square, BONIFACIO GLOBAL CITY |
販売者はフィリピンを所在地とする法人です。
フィリピン企業が日本人向けに投資システムを提供しているという時点で、十分怪しいです。
上記の特商法は主なものを一部抜粋して掲載しています。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
DTH Co., Ltd.について
販売会社である「DTH Co., Ltd.」ですが、特商法の情報によると、フィリピン、タギッグにあるレンタルオフィスが所在地になっています。
本当に「DTH Co., Ltd.」という法人がフィリピンに存在するのか、企業データベース「Philippine Companies」にて法人検索を行ってみました。
何回検索しても、同サイトの企業データベースには「DTH Co., Ltd.」という法人はありません。
「DTH Co., Ltd.」という会社は存在しない可能性が高く、住所についても適当なレンタルオフィスの住所を表示しているだけではないかと考えられます。
QUICKに登録してみた
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メールアドレスを登録すると、15万円の投資金が当選します。
これは、何回やっても15万円が当選するようになっているため、抽選に意味はありません。
続いてLINEアカウントへ誘導され、システムのログイン画面へと繋がります。
システムログイン後の画面がこちら。
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引用元:http://quick-tool.jp/login.php
口座には、投資金15万円が入金された状態です。(セールスページで当選した金額ですが、常に15万円になるようになっています)
「START」ボタンをクリックすると、合計資産の数字が増えてきいきます。
ページのHTMLソースを読むと分かりますが、これは、単にプログラムで数字を増やしているだけで、何らかの金融市場と連動しているわけではありません。
投資システムページに埋め込まれているのは無料のウィジェット
ページ最下部には「バイナリーオプション」に関する注意書きが記載されていることから「QUICK」がバイナリーオプションであることが分かります。
バイナリーオプションは、一定期間内の価格(通貨ペアや指数)が「上がるか」「下がるか」を予測するものです。
通貨ペアや株価指数のバイナリーオプションを自動取引している風に装っていますが、実際にはページ内のチャートはTradingView社の無料ウィジェットを埋め込んでいるだけで、単にリアルタイムの通貨価格や指数情報を表示しているに過ぎません。
資産はどんどん増えていくのに、肝心なバイナリーオプション取引を行っている様子は見られないのです。
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埋め込まれたウィジェットは、TradingView社が提供する無料の高機能ウィジェットで、誰でも簡単に自身のサイトやブログで利用できるものです
つまり、他社の無料サービスを利用して、見た目をそれらしく装っているだけで、実際に投資システムが稼働しているわけではありません。
QUICKの価格は
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この、なんちゃて“投資システム”を数日間運用すると、公式LINEから個人情報や銀行口座情報の登録を求められます。
個人情報を登録してしまうと、「利益を引き出すためには手数料が必要」などの理由をつけて、支払いを求められる可能性があります。
しかし、実際にはこのような投資システムで本当の取引が行われているわけではなく、画面に表示されている資産も架空の数字に過ぎません。
仮に手数料を支払ったとしても、現金が振り込まれることはないでしょう。
QUICKの総評
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これまで検証してきた案件の中には、同じ組織が関与していると見られるものが複数存在しました。
例えば、以下の案件は「QUICK」と類似した手法を用いています。
「STAR.system」「FOX」「フェールNaviシステム」「EAGLE」「パブリックプラスα」「folio」「HYBRID」「全自動AIシステム(Trading System)」
共通点として
- SSL化されていない投資システムページ
- 海外サーバーの利用
- メール登録後のスキームが共通
- 存在が不明瞭な海外法人
- TradingViewの無料ウィジェットを利用
などの特徴が見られます。
名前や見た目だけを変更して、同じようなことを繰り返している組織だと考えられるため、関わらないことを強くおすすめします。
以上、「QUICK」についてでした。