本日は、元日本銀行総裁の「白川方明」氏の名を騙る、個人投資家を対象にした株取引コミュニティについてです。
当然ながら白川氏がそんな活動をしている事実はありません。
朝倉慶氏の名を語るフェイク広告から誘導される株式投資コミュニティや、Outrider Glenviewを語る投資コミュニティと同じような案件です。
Instagram広告から誘導されたLINEグループ
今回確認したケースでは、Instagramの広告から「白川方明」氏の名前を名乗るLINEアカウントへ誘導されました。
フェイクニュースや著名人の写真を無断使用した広告など、誘導手段は多岐にわたりますが、最終的には特定のLINEアカウント、さらにその先のLINEグループへと案内されるのが一般的な手口です。
今回のLINEグループの名称は「◯◯成長株情報シェア」というもので、冒頭の◯◯には数字が入っています。
これはグループごとにIDのような番号を割り振って管理していると見られ、同様の名称パターンで多数のグループが存在することが推測されます。
こうしたグループでは、LINEグループ名に識別用の番号などを付けるケースが多く見受けられます。
グループ内では、「白川方明(シラカワ マサアキ)」と名乗る人物が先生役として、定期的に株式投資に関する蘊蓄や分析を投稿します。
それに呼応する形で、複数のアカウントが「勉強になります」「利益が出ました」といった反応を示し、まるで活発で信頼できる投資コミュニティであるかのような演出がなされます。
さらに、グループ参加者が実際に株式投資で利益を得ているかのような発言を繰り返すことで、新たに加わったメンバーの警戒心を解き、投資への参加を促す構図が見て取れます。
そもそも白川方明氏が、こんな怪しいことする訳が無い
LINEグループへの勧誘を行ってきたのは「白川方明」と名乗るアカウントです。
白川方明氏は、第30代日本銀行総裁を務めた経歴を持ち、現在は青山学院大学の特別招聘教授として活動されている方です。
そんな重責を担ってきた人物が、LINEで投資コミュニティを立ち上げて個人を勧誘するなんてことはありえない話で、明らかに不自然な設定です。
著名な投資家やアナリストが、わざわざクローズドなLINEグループ内だけで情報を提供するなどということは、まずあり得ません。
これまで積み上げてきた信用や実績を、自ら損なうような行動をとるはずがないのです。
匿名性の高いLINEグループという閉ざされた空間で、投資情報を共有されるという構図自体が、ありえないことなのです。
こうした誘いに乗ってしまえば、最終的には「もっと稼げる」「限定情報がある」などと巧みに誘導され、有料サービスに巻き込まれたり、投資資金を失うリスクが高まります。
チャールズ・シュワブ機関チームとの繋がりを強調
LINEグループ内では、アメリカの大手証券会社「チャールズ・シュワブ」とのコネクションがあると主張し、まるでそのネットワークを通じて機関投資家の大口投資に、一般の個人投資家も便乗できるかのような話が展開されます。
さらに、「チャールズ・シュワブ」が主催するという「投資家コンテスト」で、「白川先生」(偽物)を上位へランクインさせるために、メンバーへ投票を行うように指示があります。
極めつけは、このコンテストで1位になると「500億円の投資資金を運用できる」という荒唐無稽な主張までされており、冷静に考えれば明らかに現実離れしていることが分かります。

引用元:https://jpvotemax.com/
投票ページに使用されているドメインが取得されたのは、先月の6月24日。
急遽作られたページであることが伺えます。
そして投票期間が修了すると、即座にページが削除されました。
なお、「チャールズ・シュワブ」がこのような投票制コンテストを開催しているという公式情報は一切存在しておらず、こうした話は虚偽の設定を用いた手口の一環と考えるべきです。
むしろ、「チャールズ・シュワブ」公式サイトでは、なりすましによる悪質行為についての注意喚起が行われています。
繰り返されるおかしな主張
LINEグルーオプでは、「シラカワマサアキ」により、おかしな発言が繰り返されます。
チャールズ・シュワブの機関チームは、国際機関投資家向けの取引口座を通じて、「板寄せ取引(8:30〜9:00の寄付き前取引)」の権限を活用し、市場が開く前、まだ株価が上昇する前にその銘柄を買い付ける予定です。
引用元:LINEグループより
上記の発言について、まず、チャールズ・シュワブは米国大手の正規ブローカーですが、日本の一般人向けにLINEで株取引のサービスを提供するようなことは絶対にありません。
「板寄せ」についても、取引所で公正な価格形成を行うための通常プロセスであって、個別のルートから優先的に参加できるような仕組みは存在しません。
制度上、特定の人物や組織が先回りで優遇されることがあれば、市場の公正性に反する重大な違反行為です。
その他、「優位なOTC取引」についてや、「IPOで公募価格より低く分配を受けられる」などのコメントもあります。
初心者からすると、一見、本当のように見えるのかもしれませんが、発言には多くの間違いが含まれており、株取引の知識があれば全くの嘘だと見抜けるようなものばかりです。
その証拠に、矛盾点を指摘したり、運営に対して疑問を投げかけると、即座にLINEグループから退会させられます。
ヘッジファンド口座に参加しても利益を得ることは出来ない
LINEグループ内で交わされるもっともらしい発言を信じてしまい、正体不明の投資ファンド名義の口座に現金を振り込んでしまうと、大切なお金を失うことになります。
この種のLINKグループでは、信頼を得るために、最初のうちは少額の出金に応じる場合もあります。
それにより、「本当に稼げている」「安全な投資先だ」と錯覚させ、さらなる高額な入金へ誘導するのが典型的な手口です。
しかし、ある程度まとまった資金を預けたタイミングで、突如として出金ができなくなり、先生、アシスタントと称する人物やLINEグループ自体が消滅し、連絡が取れなくなるというのがセオリーです。
投資勧誘のLINEグループに参加してはいけない

LINEのグループやオープンチャットを利用した投資勧誘は、投資初心者や情報弱者を狙ったものです。
グループでのコメントや画像のすべては、巧妙に仕組まれた「信頼の演出」に過ぎません。
冷静に考えれば、有名投資家や、大手投資ファンド、信頼ある金融機関が、匿名性の高いチャットアプリ内で投資勧誘活動を行うこと自体がありえません。
公的な登録や審査を受けていない組織からの勧誘は、どんなに魅力的な話であっても、絶対に乗らないことが大切です。
こういった手口については、LINE公式や警視庁など、各所でも注意喚起が行われています。
このような投資話は、どれほど魅力的に聞こえても、決して安易に乗っかてはいけません。