本記事は2023年8月に執筆したものです。
本日は、海外FX取引所「LIRUNEX」を取り上げてみたいと思います。
めちゃめちゃ長くなったので、前置きはいいよ!という方はこちらからどうぞ。
元々、東南アジア地域の顧客が多いFXブローカーのようですが、最近になってSNS等から日本人を勧誘する動きが盛んに見られるようです。
SNS等からコピートレードへ勧誘する手口
LIRUNEXについて触れる前に、SNS等からのコピートレード(ミラートレード)勧誘について少し触れておきたいと思います。
つい最近もZAIXやAssassinFXなどの海外取引所を使ったコピートレードで、投資資金を失ったという被害報告がSNS上に溢れかえっていました。
ZAIXについては、「日向護」というお金配りアカウントが代表的で、集めたフォロワーを、ZAIXを使ったコピートレードへ勧誘していました。(他にも双葉美桜というアカウントも有名)
悲劇はある日突然に
日向護を、お金持ちだと信じきったフォロワー(信者)を集めて、FXコピートレードへ勧誘。
最初は順調にトレードが行われ、資金が増えて出金できたりもするので、ちょっと疑いを持っていた人たちも安心して、それなりの額を突っ込んだりします。
SNS上でも、わざわざタグをつけて日々のトレード画面キャプチャを流すアカウントが見受けられました。
サクラアカウントと思しきアカウントも大量で、現在それらのアカウントは消滅しています。
巧妙なのが、適度に負けたりするんですよね。
でもトータル収支はプラスなので、参加者は喜々としているわけです。
まぁ普通にありえない勝率なんですけど。
そしてある日突然、仕掛け元のトレーダーが一斉に負け始めるという怪現象発動。
コピートレードに参加しているフォロワーが、慌てて資金を出金しようとしても出金申請に答えてもらえず、強制ロスカット。
ついには取引所と連絡がつかなくなり、日向護もアカウントを消して逃亡。
6月のはじめに多くのユーザに対してロスカットが行われたわけですが、ZAIXサイトのお知らせも、5月31日を最後に更新がストップしています。
ZAIXについては、不審点を指摘するサイトやSNS上のつぶやきもありましたので、事前に調べて被害を防げた人も。
日向護や双葉美桜についても随分前からSNS上で怪しさを指摘されていましたが、お金配りで彼らを信じる人多数といった感じでした。
ほんと、よく調べることって大事。
SNSでのお金配りは危険?
Yahoo!知恵袋では、日向護が2021年11月にはお金配りを行っていたことが確認できます。
2021/11/23 22:04
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12252946457
友人が、Instagramのストーリーに日向と言う方から1万円をPayPay入金してもらったと投稿してました。まるで信者のように「日向さんは嘘偽りなく本当にお金を入金してくれました。一生着いていきます」と書いてありました。最近こういったお金配りが多いのですが、これは本当に今後友人に何もなくただ1万円を頂くのなら良いのですが、正直心配です。
時間をかけてアカウントを仕込んでいたことが伺えますね。
日向護のお金配りアカウントは、元アカウントを宣伝することを応募条件にしていました。
インスタのストーリーに、応募条件の画像が大量に溢れるのですが、この画面パッと見「当たっていないのに当選した風」というズルがしこさ。
さらに、本当に少額当選した人が「当選した」と報告しますし、サクラアカウントも高額当選したなんて投稿するので、フォロワー(信者)は増えるばかり。
少額(数百円)であっても当選した人たちは、「本物だ」などと、日向護をヨイショするもんだから「もしかしたら本当かも?」なんて思った人たちが芋づる式に増えていくのでタチが悪い。
とにかく、そうやって集めた信者たちに投資話を持ちかけて、お金集めて、やばくなったらアカウント消して逃亡。
という、典型的なパターン。
何百倍、何千倍にもなって返ってくるんですから、お金配りなんて安いものです。
お金配りに応募している時点で、カモとみなされているのを気づけない人がいかに多いか。。。
LIRUNEXを勧めるSNSアカウント
とにかく、SNSを使ってコピートレードへの勧誘を行う場合、信者となってくれるフォロワー集めが重要になってくるということです。
そして、最近ちらほら話題になっているLIRUNEXというブローカーを使ったコピートレードへ勧誘する代表的なインスタアカウントが以下の2アカウント。
@sare_uwaki_hurin
- @sare_uwaki_hurin(サレ夫@立ち会い出産で外国人の子が生まれた。)
https://www.instagram.com/sare_uwaki_hurin/
サレ夫は、日本人妻との間に生まれた子供がハーフだったという話を投稿するアカウントで、2021年6月に開設。
7.8万人というフォロワーがいるので、インスタで見かけた方もいるのでは?
こちらのアカウントについては、日向護が転生したアカウントなんじゃないかという話も。
@excel_deteiji
- @excel_deteiji(クリス@エクセル(Excel)×投資のプロ)
https://www.instagram.com/excel_deteiji/
クリスについては、エクセルの使い方を解説するアカウントで、2021年10月開設。
こちらも8.7万人というフォロワーがいるアカウントです。
こちらのアカウントについても、先程のXでのつぶやきに以下のリプライがありました。
不審な点を指摘されたサレ夫が、弁明も説明もなくブロックしている時点で、十分怪しいですね。
両アカウントともLIRUNEXでのミラートレードへ勧誘
両アカウントとも、投稿ではなくストーリー機能を使って、盛んにお金持ちアピール。
投稿とはかけ離れたストーリすぎて、違和感しかありません。
この2アカウントは、数ヶ月前から何か発表があることを匂わせていました。
ストーリーで重大発表と銘打って、引っ張るだけひっぱって出てきたのは「FXのミラートレード」でした。
両者ともnoteに重大発表の内容を公開していますが、偶然でしょうか、内容も構成もとっても酷似しています。
何でも、数ヶ月前に募集をかけた数名に、ミラートレード(コピートレード)に参加してもらっていたらしく、結果が出ているので、改めて参加者を募集するんだとか。
ここで登場するブローカーが「LIRUNEX」という海外取引所です。
ようやく出てきたよ、長かった。
【注意】取り上げた2アカウントの他にも、同じようなアカウントを複数確認しています。
LIRUNEXとは
ミラートレードを行うためにアカウント開設を促されるLIRUNEXという海外FX取引所ですが、結論から申し上げますと、利用はやめておいたほうがよさそうです。
以下、理由をまとめていきます。
lirunex.jpについて
先に紹介したInstagramアカウントが誘導している「LIRUNEX」は、lirunex.jpというURLで、日本語で日本人向けに展開されているサイトです。
母体となっているのは、lirunex.comという海外向けサイトです。
母体サイトに言語切り替えボタンがあり、「日本語」を選択すると、上記日本版サイトへ切り替わる仕様になっています。
lirunex.jp サーバー・ドメイン情報
以下、2023年8月16日時点のサーバー・ドメイン(lirunex.jp)情報です。
ドメイン | lirunex.jp |
サーバーIP | メインIP 172.67.194.81 |
ドメイン取得日 | 2022年1月18日 |
SSL証明書の種類 | Cloudflare, Inc |
ドメイン取得は、昨年の1月ですので、日本語サイトは運用から20ヶ月未満であることが分かります。
さらに、SSL証明書がCloudflareのSSLであることが判明。
サイト自体、CloudflareのCDNサービスを利用しているため、サーバーの位置を特定するのも難しく、SSL証明書を確認しても企業の詳細情報は確認できません。
詳しく調べるのめんどくさいんですが、これってCloudflareの無料SSLですかね?
驚愕!ドメイン登録情報がデタラメ
驚くべきは、ドメイン(lirunex.jp)の登録情報。
郵便番号が「111-111」、住所が「1111111,Honmachi」となっています。
郵便番号111-111なんて存在しませんし、「ほんまち」も、どこにあるのやら・・・
番地の表示も1111111って、なんでしょうか?
あまりの酷さに何かの間違いかと思い、念のためJPRSでも検索してみました。
馬鹿らしくなってきましたが、一応、青森の「ほんまち」を調べてみました。
青森市に本町という地域があるようですが、「ほんちょう」という読みですし、郵便番号は030-0802です。
記載されたIP電話番号も本物か怪しいところですね。
金融系サイトのドメイン登録情報がデタラメな時点でOUTでしょう。
一企業として全く信用できないのですが?
登録者は、Lirunex Limited (EU)のExecutive Directorと思われる人物の名前に変更されています。
郵便番号は東京都港区のものに変更されていますが、住所には「青森県」表記が残っています。
更に、連絡先電話番号は、なぜか携帯電話番号です。
2024年4月追記 ドメインがlirunex.ioへ変更
2024年4月に、「lirunex.jp」にアクセスすると「lirunex.io」へリダイレクトされるようになっていました。
ドメイン | lirunex.io |
サーバーIP | メインIP 172.67.165.241 |
ISP | Cloudflare Inc |
ドメイン取得日 | 2023年11月8日 |
SSL証明書の種類 | Google Trust Services LLC |
ドメインの登録者情報については、「Whois情報公開代行」サービスを利用しており、連絡先が秘匿されています。
母体と思われるlirunex.comは、ドメイン登録者情報を公開(企業情報を登録)しているため、日本版LIRUNEXがドメイン登録者情報を秘匿していることに違和感を覚えます。
個人であれば、セキュリティのために「Whois情報公開代行」サービスを利用する場合がほとんどですが、企業や金融系サイトは、ドメイン登録者情報に企業情報を登録している場合がほとんどです。
情報を秘匿することで、信頼性や透明性が損なわれ、ユーザーは、企業の信頼性に疑念を抱く可能性があります。
なぜ、LIRUNEX日本版は、ドメイン登録情報を隠すのでしょうか?
上記の画像は、lirunex.ioの登録者情報ですが、管理者名、組織名、住所、電話番号など、すべて非公開となっています。
WikiFXでのLIRUNEX評価
香港発のFX業者評価サイトWikiFXで「LIRUNEX」の評価を確認してみると、10点中5.74となっています。
こちらの評価ですが、lirunex.jpではなく、母体であるlirunex.comの評価になります。
運営年数も5-10年となっており、エキスポ出展時の写真や現地調査写真が掲載されていいたり、極端に評価が低いというわけでもありません。
この評価だけ見ると「大丈夫なのかな?」という印象を受けるかもしれませんが、WikiFX自体が眉唾サイトなので評価を信じるのは危険です。
WikiFXは、わざと低評価を付けて評価を変更するために広告費を請求するといったことが報告されている評価サイトです。
WikiFXについては、以下サイトで詳しく触れられています。
評価は無視して、ここで確認すべきはユーザーのコメント。
高評価に混じって「偽の証券会社」「10000万ドル失った」「出金要求を拒否された」などの低評価が見られるのです。
これは・・・
ちょっと心配になるね。
lirunex.comについて
SNSアカウントから誘導されている取引サイトは、LIRUNEXの日本版(lirunex.jp)という位置づけです。
母体となっているlirunex.comについて調べてみました。
こちらが、母体サイト。
lirunex.com サーバー・ドメイン情報
以下、2023年8月16日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | lirunex.com |
サーバーIP | 192.124.249.61 |
ドメイン取得日 | 2016年3月15日 |
SSL証明書の種類 | Starfield/Let’s Encrypt |
こちらのドメインは、取得から7年5ヶ月と長め。
ドメイン登録情報には、日本版と違って、一通り情報が登録されていますね。
サイトの利用者割合を見てみると、半分くらいがベトナムからのアクセス、その次がタイ、シンガポールが2%ほど。
東南アジアからの利用者が多いようです。
LIRUNEXは、もちろん日本の金融ライセンスを保有していませんが、キプロス証券取引委員会(CySEC)をはじめとした金融ライセンスを取得しています。
しかし、オフショア法人である時点で資本損失のリスクは低くないので、信頼できるかは疑問です。
lirunex.comの評判を調べてみた結果
本体である、lirunex.comの口コミを調べるために、Googleの言語設定を英語に変更して検索かけてみたところ、なんだか高評価のサイトがヒットするんですよね。
異様に口コミ評価が高いサイトがチラホラと。
あとは、高評価と低評価にはっきり分かれるサイト。
FPAにおけるLIRUNEXの口コミ評価
そんな中、FPA(Unbiased Forex Broker Reviews)というブローカーレビューサイトにて、LIRUNEXについての口コミを見つけました。
ページには10件の口コミが投稿されているのですが、その内訳が
★1つ 6件
★4つ 1件
★5つ 3件
となっています。
★1つの口コミは「利益が出ると自動的にロットサイズがカット」「超悪質なブローカー」「利益が出た後に突然自動登録を解除」など、コピートレードで利益が出た後、強制的に取引停止→出金拒否となったことを訴えるものです。
そしてこれらの口コミが投稿された後、高評価の口コミが、立て続けに4件投稿されています。
LIRUNEXさん墓穴を掘る
特筆すべきは、直近投稿された2件の口コミ。
★5つの口コミなのですが、FPAにより評価が取り消されています。
下がFPAによる取り消し理由。(意訳)
5つ星評価は取り消されました。
S.yl39は、ウソの「クライアント」レビューを残すために Lirunex の担当者が使用する同一IP から作成された多数のアカウントのうちの 1 つだよ。
FPAのポリシーにより、このレビューの評価は★ゼロに設定されました。
LIRUNEX担当者による自作自演レビューがバレちゃったわけです。
もう1つのレビューがこちら
以下、取り消し理由の意訳。
5つ星評価は取り消されました。
ティファニー(別名Samuel Wilson)は、このレビューを残す前に、うっかりlirunex.comのメールアドレスでサインインしたことを忘れちゃってました。
Lirunexは、新しい担当に変えなきゃダメ。ティファニーは出入り禁止!もう来んな!
FPAのポリシーにより、このレビューの評価は★ゼロに設定されました。
ティファニーったら、うっかりさん。
初歩的なうっかりミスで、自作自演レビューがバレちゃったLIRUNEX。
この様子を見ると、他サイトの高評価レビューも怪しくなってきましたね。
LIRUNEXの総評
とりあげた理由の他にも、怪しい点はいくつもあるのですが、ページが長くなっちゃうので、もうやめておきます。
これだけの理由を上げても、「いや、あのインスタアカウントはウソじゃない!」って方は、どうぞミラートレードでも何でもご自由に。
ただ、リスクがあることはお忘れなく。(なんならリスクしか無いと思いますが)
下記リンクのように、金融庁からも注意喚起出てますしね。
以上「LIRUNEX」についてでした。
7,000字を超える記事をお読みいただいた読者様、ありがとうございました。
「いやぁ〜、疲れましたぁ〜」