本日の検証案件は、山本真之(やまもとまさゆき)の「ゼロイチD2C」です。
中国の工場にOEM(オリジナル商品)を発注し、Shopifyで作った独自ショップで高単価商品を販売するという中国輸入ビジネスのコンサルですが、本当に広告で言われているような魅力的なビジネスなのでしょうか。
ゼロイチD2C セールスコピー
セールスページのコピーをピックアップしてみます。
引用元:https://www.hitori-d2c-buppan.com/d2c/zeroitid2c-youtubeadpc-b/
- ゼロから1年間で活躍できるブランドオーナーへ
- ライバルが少ない市場で高単価でも売れる!
- ライバル不在の市場を独占し、高価格でも喜んで買ってもらえる新時代のダイレクト通販とは
- ニッチ市場で小さく勝つ!
- ライバルの少ない自社ECで売る
- 高単価なのに関係なく売れる
- 1商品のみで年商1億を狙える
中国輸入×OEMというビジネスモデルは、決して新しいものではありません。
10年以上前からせどりや無在庫転売と並んで副業界隈では知られている手法であり、「簡単」「誰でもできる」といった宣伝文句の裏には、多くの人が参入しては撤退していった“現実”が存在します。
ゼロイチD2Cは、そうした既存のビジネスモデルに少しのツールや手法を組み合わせただけにすぎない可能性もありますので、検討する際は見極めが必要でしょう。
ゼロイチD2C のサーバー・ドメイン情報
以下、2025年4月1日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | hitori-d2c-buppan.com |
サーバーIP | 150.95.219.89 |
ISP | GMO Internet,Inc |
ドメイン取得日 | 2022年6月28日 |
ドメイン取得年が2022年であることからも、山本真之(やまもとまさゆき)がD2Cビジネスのコンサルを2年以上行っていることが伺えます。
ゼロイチD2C 特定商取引法の表記
以下、セールスページの「特定商取引法に基づく表記」に記載されている項目です。
販売社名 | 株式会社Reasense |
運営統括責任者 | 山本真之 |
所在地 | 本店 兵庫県たつの市揖保川町新在家186番地8 |
電話番号 | 08014920428 |
メールアドレス | rjjbh155@gmail.com |
セールスページの最終的な目的は、無料動画講座を視聴したユーザー向けに、コンサルティングを販売することですが、肝心なコンサルティング料などについての記載はありません。
また、法人を名乗りながら、問い合わせ先が「携帯電話番号」「Gmailアドレス」というのも法人としての信頼度が低くなります。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
販売会社「株式会社Reasense」について
販売会社となっている「株式会社Reasense」(https://www.reasense.net/)について調査してみました。
株式会社Reasense
・法人番号指定年月日 平成30年(2018年)4月9日
・法人番号 2140001109659
・本店又は主たる事務所の所在地 兵庫県たつの市揖保川町新在家186番地8
「株式会社Reasense」は、問い合わせ電話番号が「携帯番号」、メールアドレスが「Gmail」なだけでなく、所在地にあるのも住宅地の1軒家です。
所在地に会社があるということはなく、住所のみ登録している状況でしょう。
実際、無料講座動画内では、山本真之(やまもとまさゆき)自身が、「事務所も倉庫も一切借りていない」「正社員やアルバイトといった雇用もない」と述べています。
山本真之(やまもとまさゆき)とは
「ゼロイチD2C」のオファー主、山本真之(やまもとまさゆき)とはどんな人物でしょうか。

https://www.hitori-d2c-buppan.com/d2c/zeroitid2c-youtubeadpc-b/
セールスページのプロフィールによると、現在はコンサル会社と通販会社の2社を経営。
2017年よりEC事業で起業し、中国輸入OEM×自社ECサイト販売において1商品で年商1億円超えを達成。
直近では年商3.5億円の売上実績を上げているとのこと。
無料動画講座では、実際のECサイトや販売している商品、売上の証拠などは提示されていませんので、彼が本当にこれだけの売上を上げているのかは確認できませんでした。
SNSについて
SNSフォロワーが10万超えで、物販ビジネスのインフルエンサーとしてECビジネスに関する情報を発信しているとのことですので、各SNSを確認してみました。
YouTube(https://www.youtube.com/@yamashin-d2c/)は、ショート動画をメインにECビジネスに関する情報を発信しているようです。
チャンネル登録者は4万人超えと、そこそこの登録者数ですが、なぜか動画にコメントがついていません。
投稿されているコメントは1つだけで、しかも山本真之(やまもとまさゆき)自身による無料講座への誘導コメントです。
チャンネル登録者がこれだけいて、コメントがないというのはとても不自然です。
こういった現象は、チャンネル登録者を購入した場合によく起こります。
もちろん、このチャンネルが、登録者を購入していると断定しているわけではありません。
しかしながら、特にバズった動画が投稿されているわけでもないのに、ある一定の時期に登録者が増えていることは不自然です。

2022年末から2023年頭にかけて、登録者が増えていることが分かります。
InstagramやTikTokについても、そこそこのフォロワーがいるのですが、不自然なほどにフォロワーからのコメントがありません。

Instagramのアルゴリズムでは、みせかけのフォロワーが多いとエンゲージメントが低いアカウントとみなされます。



SNSを使ったビジネスを考えている人は、絶対にフォロワーを購入してはいけません。
ゼロイチD2Cのビジネスモデルについて
実際に無料講座動画4本を視聴して、「ゼロイチD2C」のビジネスモデルについて、考察してみました。
中国OEMは「簡単」じゃない
動画では、「中国の工場に商品を発注するだけで、自分のブランドが持てる」とアピールされ、OEMの部分がまるで“初心者でも気軽にできる工程”のように語られています。
しかし現実は、そんなに甘くありません。
Google翻訳でスムーズに交渉できると思っていると危険
「工場とのやりとりはGoogle翻訳で十分」と説明していますが、これは非常にリスキーです。
ビジネス交渉では、製造仕様・納期・数量・梱包形態・不良品対応など、細かい確認事項が山ほどあります。
翻訳が少しズレただけで、意図しない商品が完成したり、大量の不良在庫を抱えるリスクがあります。
たまたま実力のある業者にあたればラッキーですが、中国OEMでは「最初の注文で失敗するのが当たり前」などという話はよく聞きます。
信頼関係の構築や品質管理が難しいので、初心者が意図に沿った発注や交渉ができるかというと大いに疑問です。
トラブルが起きても、対応はすべて自己責任
工場から「納期が遅れる」「想定と違う仕様になった」「連絡がつかない」などのトラブルが起きても、仲介者がいないためすべて自分で対応しなければなりません。
また、万が一商品の品質が悪くてクレームがあった場合、その責任は当然ながら販売者にあります。
製造元は責任を取ってくれません。
「スキマ時間でできる」と言われても、実際には膨大なやりとりとリスク管理が求められるのが中国OEMの現実です。
高単価商品を売ることの難しさ
「ゼロイチD2C」では、安い商品を大量に売る方法ではなく、高単価商品を売り切っていくことで大きな利益を狙うスタイルが推奨されています。
確かに、1個あたりの利益が大きければ、少ない販売数でも収益は立ちやすく見えるかもしれません。
しかし実際には、高単価商品だからこその“売りづらさ”という大きな壁が立ちはだかります。
高単価商品になればなるほど、購入前にしっかり比較検討する人が多く、消費者は、信頼性・ブランド力・口コミなどをチェックして比較検討します。
つまり、高単価商品を売るには、それに見合うだけの「信用」「説得力」「顧客対応」が必要になります。
「インスタ広告で露出すれば売れる」なんて単純な話ではないでしょう。
高単価商品を売るために、Instagram広告を推奨していますが、コンバージョン(購入率)が悪ければ、赤字で終わることも十分にあり得ます。
高単価の単発商品を売るスタイルであることから、いわゆる“ファン”や“定期購入者”のような顧客基盤を築くのが難しい傾向があります。
広告で新規顧客を集め続けなければ利益を維持できないため、ずっと広告に依存し続ける不安定な仕組みといえます。
ShopifyとInstagram広告を利用した販売について
「ゼロイチD2C」では、「Shopifyを使えば簡単にECサイトが作れる」「自動出荷システムで発送作業も不要」といった“省力化”が強調されています。
それにより、「楽して収益が上がる」ようなイメージを持ってしまう方もいるかもしれませんが、現実はそんなに甘くありません。
競合ショッピングサイトの存在
「ゼロイチD2C」は、Amazonや楽天といったECモールに勝つために、Shopifyを使った独自ショップ販売を推奨しています。
確かに、Amazonなどでは同じような商品が格安で販売されているため、Amazonで販売しても他者に勝つことは困難です。
しかしながら、独自ECサイトで販売するからと言っても、すでに大規模な顧客基盤と信頼を持っているECモールに勝つことは並大抵なことではありません。
ユーザーをInstagram広告からShopifyのサイトへ誘導できたとしても、他のサイトと比較検討をされれば終了です。
中国ECサイトの存在
さらに、最近では「SHEIN」や「Temu」といった中国発のECサイトが盛んに広告出稿を行っています。
商品の品質は別にして、これらのサイトは驚くような低価格で販売を行っています。
おまけに、彼らは個人の広告出稿なんて比べ物にならないくらい大量の広告を行っています。
OEMで独自のオリジナル商品が出来てShopifyで販売が順調でも、中国発のECサイトに類似商品が出回るのは時間の問題です。
そうなれば、すぐに自社商品の売上は落ちます。
Shopify運営には地味な作業が山ほどある
Shopifyは優れたECプラットフォームです。
テンプレートを使えば短時間でサイトの形は作れますが、売れるショップにするためにはやるべきことが膨大にあります。
大手ECモールは、すでに顧客からの信頼を得ており、購入者にとって「安心して買える」プラットフォームです。
これらのショップに勝つためには、商品ページの画像や説明文の作り込みが必須ですので、自身で作れなければ、外注することになります。
その他にも、顧客対応(問い合わせやクレーム処理)、カート離脱率の改善、メールマーケティング施策、返品・返金対応など、必要な作業は多岐にわたり、決して簡単ではありません。
Instagram広告で売れるとは限らない
「ゼロイチD2C」では、集客手段としてInstagram広告が推奨されています。
Instagramは視覚的に魅力的な商品を宣伝するのに適しており、確かにターゲット層に直接アプローチできる強力なツールです。
しかし、広告が成功するためには戦略と工夫が不可欠で、広告だけで自動的に売上が上がるわけではありません。
Instagram広告を使う企業や個人は、年々増えており、競争が激化しています。
特に高単価商品を扱う場合、他社との価格競争や差別化が難しく、広告の効果が薄れることがあります。
商品の魅力が伝わらない場合や、ターゲット層に刺さらない場合、単なる“お金の無駄”に終わりがちです。
無料動画講座では、Instagram広告がいかに有効かをアピールされていますが、広告に依存しすぎるビジネスモデルは不安定です。
広告費が増大すれば利益が圧迫されます、Instagramのアルゴリズムや広告ルールが変われば、広告効果が突然下がる可能性があります。
商品をアピールする手段を、Instagram広告のみに頼っているのは非常にリスクがあります。
ゼロイチD2Cの価格


コンサル料金は、12ヶ月で132万円、6ヶ月で77万円となっています。
誰もが6ヶ月、1年といった期間でビジネスを軌道に乗せられるかというと、そういったことはないでしょう。
高額なサポート料ですので、売上を上げられる形を作れるまで、ある程度サポートすべだと思うのは私だけでしょうか。
ゼロイチD2Cの総評


「ゼロイチD2C」のコンサルを受ければ、中国OEMについての概要は掴めるでしょう。
もしかしたら、中国OEMで利益を上げることができるかもしれません。
しかし、中国OEM販売に「誰でもできる」「短期間で大きな利益が得られる」といった幻想を持つのはやめましょう。
実際には、先行者や競合が多く、かなりの労力とリスクが伴うビジネスモデルです。
ビジネスモデルで稼げなくなった人が、コンサルとして教える側に回ることはよくあります。
もし本当に稼げるビジネスであれば、ライバルを増やすような行動はせず、自分だけで利益を得る方が賢明なので、他に人に教えるようなことはしません。
「ゼロイチD2C」に限らず、このビジネスに挑戦する際は、労力やリスクを理解したうえで、検討しましょう。
以上、「ゼロイチD2C」についてでした。