本日は「イーストサイド支援金相談所」という、無料相談を装った副業紹介案件について検証していきます。
イーストサイド支援金相談所 セールスコピー
まずは、セールスページですが、支援金ビジネスで被害に遭った人や、不安を感じている人たちに向けて「無料で相談できます」「返金の手続きをサポートします」といった甘い言葉が並べられており、その先にあるLINEへの登録を促してきます。
一見、「怪しい支援金給付案件に関する無料相談を受け付けています」といった被害者救済を目的とした正義感あふれる活動のように見えますが、被害者救済をフックとして「二次被害」への誘導である可能性が見て取れます。
このような「相談無料」「返金サポートあり」「信頼できる案件を紹介」といった言葉に安易に乗せられないよう、十分に注意しましょう。
イーストサイド支援金相談所 サーバー・ドメイン情報
以下、2025年5月28日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | happy-0077.com |
サーバーIP | 163.43.17.148 |
ISP | SAKURA Internet Inc. |
ドメイン取得日 | 2025年2月27日 |
ドメイン取得は、2ヶ月前ですので、このページが最近作られたばかりのものであることが分かります。
怪しいオファーは、頻繁にURLが変更される傾向があるため、こうした“ドメインが新しいサイト”がよく使われます。
イーストサイド支援金相談所 特定商取引法の表記
以下、セールスページに記載されている特商法の一部です。
会社名 | 株式会社Golden-Apple |
運営責任者 | 藤木直樹(Naoki Fujiki) |
所在地 | 千葉県八千代市ゆりのき台6丁目1番地2-B-102 |
代表番号 | 050-3635-8045 |
設立 | 2018年8月 |
支払方法 | 電子マネー(credit cardなど…)または銀行振込 |
価格の記載はありませんが、「支払い方法」の項目に「電子マネー(credit cardなど…)または銀行振込」の記載がありますので、何らかの支払いが発生することが予測できます。
この時点で「無料で相談」というコピーに矛盾があることが分かります。
上記の特商法は主なものを一部抜粋して掲載しています。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
株式会社Golden-Appleについて
特商法に記載された会社「株式会社Golden-Apple」について調べてみました。
株式会社Golden-Apple
・法人番号指定年月日 平成27年(2015年)10月5日
・法人番号 6011101068267
・本店又は主たる事務所の所在地 千葉県八千代市ゆりのき台6丁目1番地2グリーンハイツB-102
法人番号の指定は2015年(平成27年)10月5日から始まった制度ですので、「株式会社Golden-Apple」は、それ以前から存在していることになります。
しかし、気になる点が浮かび上がってきました。
まず、特商法には、「設立:2018年8月」と記載されており、登記情報と異なります。
さらに、「変更履歴情報」を確認すると、「株式会社Golden-Apple」は、令和4年(2022年)2月3日に現在の社名へ社名変更を行い、2月9日に東京都新宿区から群馬県前橋市に所在地を変更し、さらに同年8月31日に現住所へと住所変更を行っています。

少なくとも7年以上、社名変更や住所変更を行っていなかった法人が、2022年に社名変更と2度の住所変更を行っていることが分かります。
断定はできませんが、短期間での住所変更と社名変更の繰り返しは、「休眠会社」や「閉業寸前の法人」を買い取り、新たなビジネスに流用する手口とも考えられます。(あくまでも可能性)
イーストサイド支援金相談所 浜崎めぐみは架空の人物
セールスページやLINEアカウントに登場するのは「浜崎めぐみ」と名乗る女性です。

引用元:https://happy-0077.com/p/lp/est0002
しかし、この女性は「浜崎めぐみ」ではなく、フリー素材の写真が使われているだけです。
実際に画像検索してみると、この写真がさまざまなサイトでイメージ画像として使用されていることが確認できます。

つまり、イーストサイド支援金相談所の浜崎などという人物は、存在しない可能性が高いということです。
イーストサイド支援金相談所に登録してみた

検証のためにLINE登録を行ってみました。
「浜崎めぐみ」というLINEへ登録すると、性別とともに、どのようなことを聞きたいかと質問が送られてきます。
■希望■
①副業・支援案件の調査をして欲しい。
②返金してもらいたい。
③確実にもらえる副業・支援案件の紹介参照元:浜崎めぐみLINEより
適当な案件名を伝えると、調査を行ったという報告とともに、副業情報が送られてきました。

参照元:浜崎めぐみLINEより
紹介された副業は、「寂しいご依頼者様の相談対応」で、依頼者とメールでのやり取りを行うことで、月50万〜500万の報酬が発生するというものです。
イーストサイド支援金相談所の副業とは
「浜崎めぐみ」に伝えた「性別」によって、異なる副業募集ページを案内されます。
左側が男性向け、右側が女性向けページです。

参照元:LINEより案内されたページ
それぞれのページから、「HAPPY運営事務局」を名乗る新たなLINEへ誘導されます。
そして、「HAPPY」というマッチングサイトへ登録させられます。

引用元:http://rgln4r.aghasfas0111.com/
個人情報を登録させるのに、サイトはSSL化(暗号化)されていません。
しかも、サーバーがあるのは香港です。
ドメイン | aghasfas0111.com |
サーバーIP | 43.225.102.67 |
ISP | HKISL-ASN Internet Solutions Limited, HK |
ドメイン取得日 | 2024年10月25日 |
サイトに登録すると、早速、依頼者からのメールが届きます。
送られてくるメッセージは、典型的なパターン
依頼者から送られてくるメッセージ内容は、「感情に訴える系」の典型的な導入パターンです。
「幼少期の不幸」「家族との確執」「裏切られた恋愛」などのエピソードで、あたかも心を開いて本音を打ち明けているかのように装います。
こういったやり口で、警戒心を持たれないようにしているわけですが、こちらは警戒MAXです。
共感したり親身になったふりをして返信メールを返すと、相手から続々とメールが送られてきます。
何度かやり取りをしていると、「報酬として最初の1ヶ月分の100万円」を支払ってくれるという話になります。
もう古典的かつ典型的なパターンです。
報酬を受け取るためには

報酬を受け取るためには、当然ながら振込先の口座情報など、個人情報のやり取りが必要になります。
しかし、メーッセージのやり取りの場として使われている「Happy」内では、なぜか個人情報の送受信ができないと説明されます。
そこで登場するのが、「セキュリティーライセンス」という謎の仕組みです。
このライセンスを購入すれば、安全に情報をやり取りできるようになるという理屈なのですが、明らかに不自然です。
そのライセンスの価格は5,000円。
しかも、支払い方法はなぜか現金ではなく「Appleギフトカード」。
典型的な手口で、電子ギフトカードを使わせるのは、足がつきにくく、被害者の補償も困難になるためです。
本来、報酬を受け取るためにお金を払う必要などありません。
イーストサイド支援金相談所の総評

このような副業を装ったマッチングサイトは、報酬の受け取りに「手数料」や「登録料」「システム利用料」など、さまざまな名目で先にお金を支払わせる仕掛けが待っています。
最終的に、お金を払った途端に音信不通、あるいはさらに様々な理由をつけて何度も金銭を請求されることになります。
このように、資産家を名乗る人物とのメッセージのやり取りを通じて、高額な報酬が得られるという手口は、古典的なパターンです。
メッセージ相手はもちろんサクラですし、相手の「感情的な演出」や「高額報酬」には、必ず裏があります。
絶対に個人情報やお金を渡してはいけません。
以上、「イーストサイド支援金相談所」についてでした。