本日は、海外FX取引所「WeekendFX」について検証していきたいと思います。
こちらXにてFX投資家を名乗るアカウントが、コピートレードのアカウント開設先として勧めていたブローカーです。
調べてみたところ、怪しい点がいくつか見つかりましたので、調査結果をまとめておこうと思います。
SNS等で取引成績を公開しコピートレードへ勧誘するアカウントに注意
WeekendFX検証の前に、SNS等でコピートレード(ミラートレード)へ勧誘してくるアカウントには警戒が必要です。
XやInstagram、TikTokなどで「FXトレーダー」として異常な好成績をアピールし(短期間で莫大な利益を誇張するなど)、LINEコミュニティへの誘導や現金配布を行うアカウントには注意が必要です。
このようなアカウントは、特定のFX業者での口座開設や入金を促すケースが多く、実際には利益を出していない可能性が高いと考えられます。
少し調べれば、こうした偽トレーダーのコピートレードに参加して資金を失った被害者が多く存在していることが分かります。
絶対に関わらないようにしましょう。
海外FX業者「LIRUNEX」検証時に取り上げたアカウントも、現在はインスタカウント、noteなどを削除し飛んでしまいました。
SNSでコピトレ勧誘するアカウントなんて、簡単に信用しちゃダメですよ。
それでは、WeekendFXの検証に入りましょう。
WeekendFXとは
以下が、WeekendFXのトップページキャプチャ画像です。
通常FX市場は、金曜日のニューヨーク市場のクローズから月曜日のシドニー市場のオープンまでの間は取引が停止します。
WeekendFXは、中東市場への注文発注により土日のレートを取得することで、週末でも取引を行える仕組みを提供していることが強みのようです。
公式サイトの言語対応は「日本語」「英語」「韓国語」の3言語です。
通常、各言語版のディスクリプション(ページの説明)は、その言語で記載します。
WeekendFXのディスクリプションを確認すると、全て日本語で表記されていることが分かります。
このことやサイトのソースから、制作は日本人もしくは、第一言語が日本語の人物によって行われていることが分かります。
サーバーは海外にありますが、おそらくサイト運用しているのは日本国内にある組織で、WeekendFXは日本人向けに展開されているFXブローカーではないかと考えられます。
WeekendFX サーバー・ドメイン情報
以下、2024年7月19日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | weekend-fx.com |
サーバーIP | 50.87.175.149 |
ISP | Unified Layer |
ドメイン取得日 | 2020年8月2日 |
SSL証明書の種類 | Let’s Encrypt |
ドメイン取得から3年11ヶ月、FXブローカーとしては新し目のブローカーと言えるでしょう。
サーバーがあるのはアメリカ。
WEB魚拓を調べてみたところ、weekend-fx.comのトップページは以前、英語版となっていましたが、2023年の12月にはトップページが日本語版に変更されていたことを確認済みです。
おそらく、昨年末くらいから日本人をメイン顧客と捉えているのではないでしょうか。
WeekendFXは、セキュリティに難あり
WeekendFXサイトのSSL証明書を確認したところ、無料のLet’s Encryptを利用していることが分かりました。
誤解のないように先に触れておきますが、無料のSSL「Let’s Encrypt」は、暗号化技術も問題ないとされていますし、暗号化強度も有料のものと同等で企業サイトでも採用されています。
しかしながら、金融関係のサイトでドメイン認証型の証明書が利用されている場合には注意が必要です。
信頼性の高い金融関係のサイトや大手サイトでは、通常、信頼性の高い有料SSL証明書(EV認証型/OV認証型)を利用しています。
金融サービスを提供しているのに、申請も必要なく誰でも簡単に利用できる無料SSL証明書を利用している時点で、注意が必要と言えるでしょう。
セキュリティに関する懸念点はSSL証明書だけではありません。
基本的なセキュリティ対策すら講じていない
WeekendFXサイトはWordPressというCMSで構築されています。
WordPressは、ブログやWebサイトの作成ができるソフトウェアみたいなものなのですが、使用料が無料で、拡張性があるため企業や個人まで幅広く利用されています。
世界的にもシェアが高いシステム(日本国内でのシェアは異常に高い)ですが、そのシェアの高さからハッカーの標的にもなりやすく、セキュリティ対策を怠るとサイトが攻撃を受けるリスクも高まります。
もっとも基本的な対策のひとつとして、「WordPressのログイン画面を予測できないようにする」といったものがあるのですが、驚くことにWeekendFXは、そういった基本的な対策すら講じていません。
あえて、URLや画面キャプチャは記載しないけど、WordPress触ったことがある人なら、簡単に予測できるよ。
今後、URL変更などの対策が施されるかも。
ID、パスワードを探ってサイト改鼠も簡単に出来ちゃうような甘々な作りなので、さっさと対策したほうが良さそうですが・・・
こんな基本的なセキュリティ対策もできていないようなサイトを作っちゃう会社に個人情報を登録したり、大切なお金を預けるなんて恐ろしすぎると思うのは、私だけではないはず。
WeekendFXの運営元はShogun Consultants Limited
サイトのフッター部分にあるテキストから、WeekendFXの運営元情報が分かります。
WeekendFXの運営元は、Shogun Consultants Limited. という法人であることが分かります。
租税回避地(タックス・ヘイヴン)であるイギリス領ヴァージン諸島の法人で、登録番号は1944214、会社所在地は、Vailiou Vrionidi 6 office 501-2, Gala Court Chambers 5th floor, 3095 Limassol, Cyprusとなっています。
会社名 | Shogun Consultants Limited. |
---|---|
登録番号 | 1944214 |
所在地 | Vailiou Vrionidi 6 office 501-2, Gala Court Chambers 5th floor, 3095 Limassol, Cyprus |
メールアドレス | customer@weekend-fx.com |
電話番号 | 記載なし |
WeekendFX の所在地について
過去のサイト情報を調べたところ、WeekendFXはWEBサイトの住所表記を何度か変更していることが分かりました。
ざっと調べただけでも、以下4タイプの住所表記を確認できました。
- 2021.10.21時点
-
19 Waterfront Drive PO Box 3540,
Road Town TORTOLA,
VG 1110. British Virgin Islands 魚拓 - 2023.3.30時点
-
Vryonides Business Center 6,
Vasili Vryonides str,
5th floor 3095 Limassol, Cyprus 魚拓 - 2023.12.31時点
-
19 Waterfront Dr,
Tortola VG1110,
British Virgin Islands. 魚拓 - 2024.7.19時点
-
Vailiou Vrionidi 6 office 501-2,
Gala Court Chambers 5th floor,
3095 Limassol, Cyprus
1番目(2021.10.21)と3番目(2023.12.31)の住所は、おそらく同じ場所を示していますが、3番目は簡略化表記されています。
1番目の住所で検索をかけると、数十件の法人がヒットします。
私書箱番号(PO Box 3540)が記載されていますので、ペーパーカンパニーとみて間違いないでしょう。
最新の住所で検索すると、レンタルオフィスの住所であることが分かります。
住所に記載された5階に広いオフィスフロアがあるのかまでは確認できませんでしたが、現状レンタルできるのは、1人or2人のスモールオフィスのみのようです。
まともなFXブローカーが少人数で運営されているとは考えにくいので、この場所に広いオフィススペースを借りているのでしょうか?
いずれにせよ、過去にはペーパーカンパニーと思しき住所が記載されていたことは事実です。
WeekendFXの評価
続いて、評価サイトでのWeekendFXの評判を調べてみました。
検証時(2024.7.19)のWikiFXによる評価は6.20となっています。
このスコアなら問題ないかもと感じてしまうかもしれませんが、WikiFXの評価をそのまま鵜呑みにするのはおすすめできません。
WikiFXは、中国企業によって運営されているFXブローカー評価サイトで、わざと低評価を付けて広告費を請求し、評価を変更するといった事例が報告されているサイトです。
詳しくは、以下のサイトでまとめられています。
WikiFXのユーザーコメントは参考になることがあるので、こちらのコメントを見てみましょう。
画像を見てわかる通り、明らかにコピーサイトです。 最近WeekendFXでのコピトレ募集が増えていますが中身はポンジで悪名高きForexlandの可能性が高いので注意してください。
引用元:https://www.wikifx.com/ja/discover/ADJ202403143032556084.html
WeekendFX(SHOGUNCONSULTANTS LTD)のライセンスは、公式WebサイトにはMSBとNFAを取得とありますが、実際には持っていませんでした 各機関の公式サイトで検索すると、MSBはそもそも未取得、NFAは2023年2月3日に撤退しています
引用元:https://www.wikifx.com/ja/discover/ADJ202402109002753068.html
同じく中華系企業が運営するTraderKnowsという評価サイトがありますが、こちらの評価は1.66。
こちらは、かなり厳しい評価となっています。
(管理人はTraderKnowsがどういった会社に運営されているのか把握していないため、このサイトの信憑性は分かりません)
WeekendFXのライセンスについて
公式サイトによると、WeekendFXは3つの金融ライセンスを取得しているとのこと。
MSB、NFA、AOFAのライセンス取得済みとのことですので、それぞれのサイトにて検索をかけてみます。
MSBライセンス
まずは、MSB(Money Services Business)です。
公式サイトの説明によると、“カナダMSB (Money Services Business)ライセンスは、FinCEN(Financial Crimes Enforcement Agency、米国財務省傘下の金融犯罪執行機関)が規制・発行する金融ライセンスです。主にマネーサービスに関連する事業や企業を対象としています。” とあります。
カナダMSBは、FINTRAC(The Financial Transactions and Reports Analysis Centre)の監督下にあるはずですが、なぜか米国のFinCENによる規制と記されています。
左側のロゴもFinCENのロゴです。
なぜカナダのMSBを米国のサイトで検索しなければならないのか疑問に感じつつも、FinCENのサイトにてライセンス番号の検索をかけてみます。
「ライセンス番号」と、「WeekendFX」の2つで検索してみましたが、いずれも登録がありません。
Shogun Consultants Limitedでも検索しましたが、やはり登録はなし。
ライセンス番号に至っては、MSBライセンス番号は14文字のはずですが「M22538696」と9文字しかありません。
ちなみに、カナダのFINTRAC公式サイトは、3月2日に発生したサイバー攻撃により検索システムがクローズされ、企業検索ができない状態です。
カナダMSBと米国のFinCENが混在している事自体が謎だったのですが、Web魚拓を確認したところ、なんとなく疑問が晴れました。
MSBライセンス表記が二転三転している
こちらは、2024年1月21日時点のWeekendFXサイトのキャプチャです。
この時点では、カナダMSBではなく米国MSBと記されています。
登録番号も、M20917335と、現状とは異なる登録番号が記載されていることが分かります。
登録番号は、2024年2月15日には現在の登録番号M22538696に変更されていることも確認済みです。
MSBは米国MSBのまま。
あくまでも、管理人の予測ですが以下のような流れなのでは。
米国MSBで登録がないことを様々なブログやSNS等で指摘される
↓
登録番号を変更する
↓
カナダFINTRACサイトがサイバー攻撃を受け企業検索ができなくなる
↓
企業検索ができなくなったことを利用(検索させないため)して、米国MSBからカナダMSBという表記に変更。
(でもFinCENからFINTRACに書き換えるのを忘れるor混乱させるためあえてそのまま)
上記は、あくまでも想像です。
CSAの認可は受けていない
ちなみにカナダのMSBライセンスを取得したからと言って、信用できるブローカとは言い切れません。
FINTRACは、資金洗浄およびテロ資金供与の防止を目的としたカナダの金融情報機関です。
カナダで外貨両替、送金サービス、小切手の現金化、仮想通貨の取引および交換などのマネーサービスを提供する事業者は、FINTRACのMSBライセンスの取得が義務付けられています。
このライセンスは、主に資金洗浄防止やテロ資金供与防止を目的としており、金融取引における透明性や報告義務を強化するもので、ブローカーの公正性や投資家保護を直接的に規制するものではありません。
投資家保護を目的とする場合、FINTRACではなくカナダ証券管理局(CSA: Canadian Securities Administrators)の認可を受けているかどうかが重要となります。
MSBライセンスのみを持つブローカーは、特定のリスク管理基準や投資家保護措置が欠如している可能性があります。(例えば、不正行為や破産などのリスクに対して十分な対策が講じられていない)
MSBライセンスを所持しているだけでは、投資家保護や取引の公正性が十分に確保されているとは言えません。
何にしても、登録番号が変わったり、米国MSBがカナダMSBになったりと、通常では考えられない動きがあるので十分に注意が必要でしょう。
NFAライセンス
続いてNFA(全米先物協会)ライセンスです。
こちらは、前出の引用コメントでもあったとおり2023年3月2日付けでNFAから退会しています。
しかも、Exemption Typeの欄が4.14(a)(8)となっていることから、WeekendFXはNFAに登録はされてたがNFA会員ではなかったことが分かります。
参考リンク:https://www.nfa.futures.org/members/member-resources/files/exemptions-reference-guide.html
単に金融機関として登録しただけで、会員ではないのでNFAの監督下にあるわけでもなく、規制を受けるわけでもないってことだね。
NFA会員でないということは、実際にはNFAによる規制を受けていないということです。
これは、NFAによる規制や監督が行われていない金融ブローカーであることを意味します。
よってNFAライセンスを所持しているという主張は間違いであることが分かります。
WeekendFXによるライセンスについての主張
XにはWeekendFXの公式アカウントが存在します。
そして、このアカウントが固定ポストとしているのがこちら。
NFAについて“StatusがActiveな状態にあることが会員である証明です”などと言っていますが、NFAに登録があっただけでNFA会員ではありません。
まして、NFAの登録が取り消された3月2日以降にこのポストを行っている(2024年5月13日)時点でおかしいのです。
MSBについては、ライセンス取得していないことが明らかなのにライセンス取得していると主張しています。
これは、おかしいぞ。
AOFAライセンス
3つめのライセンスは、AOFA(アンジュアン・オフショア・ファイナンシャル・オーソリティー)というライセンス。
耳馴染みのないライセンスですが、アフリカ、コモロ諸島のアンジュアン島の機関によるライセンスのようです。
AOFAのサイトで確認するとWeekendFXの登録を確認することができました。
正直、聞いたこともないライセンスなので信頼度に関しては全く分かりません。
海外掲示板でのAOFAの評価
AOFAについての情報が見当たらないので、海外のサイトに情報がないか検索言語を英語に変更して検索してみましたが、あまり情報がヒットしません。
そんな中、2012年12月ごろに海外掲示板に「Anjouan Offshore Finance Authority」に関する投稿がありました。
AOFA(アンジュアン・オフショア・ファイナンシャル・オーソリティー)に対して疑問をいだいた、Dr. Jonathan Levyという人物がイギリスの金融サービス機構に質問メールを送ったことについてのスレッドです。
これといった情報はありませんが、AOFAがあまり良い印象を持たれていないことが分かります。
“彼らはここではよく知られていて、あらゆる種類のガラクタを売っていて、この地域全体がゆっくりと解決していく問題です。”
引用元:https://sapphirecapital.proboards.com/thread/5703/anjouan-corporate-services
“FSA が何年もの間注意深く無視していた旧ソマリア国際金融センターのようなものだと疑っています。”
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WeekendFXの総評
以上、WeekendFXについての調査結果となります。
本気でオススメしません。やめておいたほうがいい。
今のところSNS等で出金停止などの報告はないようですが、調査内容を鑑みると今後はどうなるか分かりません。
ライセンスに関する記載については、明らかに問題があります。(というか嘘ついてるし)
リスクがあるオフショア会社のプラットフォームでコピトレするなんて恐ろしすぎて、私は無理です。
投資は自己責任ですので判断は各人の自由ですが、ライセンスがあやふやで何の保証もないFXプラットフォームを利用するのは、とんでもなくリスキーであることは認識しておきましょう。
SNS等でのコピトレ勧誘なんて要注意!
関わっちゃだめです。
金融庁からも警告出てますしね。
以上「WeekendFX」についてでした。