本日の検証案件は、スマートフォン対応型完全自動トレードシステム「トレナビ」です。
システムをインストールしてボタンを1タップするだけとのことですが、そんな都合のいい話が本当にあるのでしょうか?
仕組みや実態について、登録検証していきたいと思います。
トレナビのサーバー・ドメイン情報
以下、2025年6月4日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | tradenabi.com |
サーバーIP | 202.230.61.90 |
ISP | Yahoo Japan Corporation |
ドメイン取得日 | 2024年12月25日 |
こちらのサーバーIPですが、先月ドメインを変更して再オファーを開始した「MASTER PIECE(マスターピース)」と同じIPです。
このことから、「トレナビ」と「MASTER PIECE(マスターピース)」は、運営元が同じ、もしくは何らかの関連性があると考えるのが自然でしょう。
トレナビ セールスページから分かること
トレナビのセールスページから主なコピーをピックアップしてみます。
- 必要なお金を何度でも
- トレナビ期間限定キャンペーン 登録者全員に50,000円ボーナスプレゼント
- ページの公開終了間近!!!2025年6月6日
- スマートフォン対応型 完全自動トレードシステム
- 利益は毎週月曜日に指定の銀行口座へ自動で入金
引用元:https://tradenabi.com/
セールスページには、景品表示法違反と思われる表記が各所に見られます。
根拠のないNo1表記
ページ冒頭には、「満足度No1」の表記があります。

引用元:https://tradenabi.com/
「シニア層利用率 満足度No1」とありますが、日本語として不自然です。
「利用率」と「満足度」は別の指標なのに、1つの言葉のように並べられていて、シニア層の利用率がNo1なのか、シニアの満足度がNo1なのか意味が分かりません。
さらに、「No1」表示を使用する場合、どの期間でどのような基準でといった根拠や出典を示さなければなりません。
しかし、そういった記載はどこにも見当たりません。
これは、景品表示法における優良誤認表示(実際よりも著しく優れていると誤認させる表示)に該当する可能性が高く、不当表示であると言えます。
おそらく「No1」という表現で、シニア層の興味をひこうとしているのでしょうが、根拠のない誇張表現で信頼性はありません。
50,000円ボーナスプレゼント人数限定のウソ
No1表記の他にも、50,000円ボーナスプレゼントの記載もあります。

引用元:https://tradenabi.com/
こちらの表現にも矛盾があります。
「登録者全員」と言いながら、「人数限定」と制限を設けているのです。
すべての登録者に配布するなら人数制限は不要ですし、人数制限があるなら「全員」とは言えません。
これもまた、誤解を招く不適切な表示であり、景品表示法の観点から問題があります。
さらに「人数限定」の数字が、時間とともに減っていくのですが、この数字も演出にすぎません。
ページを開いたタイミングで「200」が表示され、徐々に数字が減っていくアニメーションが実装されているだけです。
その証拠に、ページを更新すると再び「200」に戻り、同じカウントダウンが繰り返されます。
つまり、本当の残り人数を示しているわけではなく、あたかも「枠」が減っているように見せかけているだけなのです。
当然ながら、こうした事実と異なる表示も、景品表示法における不当表示に該当する可能性が高く、極めて悪質です。
ページ公開終了期限のウソ
上記の「人数限定」表示の下には、「ページの公開終了間近!!!」として、2日後の日付が表示されています。
この表示についても、表示された日付は事実ではなく演出に過ぎません。
HTMLソース(ページの構成を記述しているプログラム)を確認すると一目瞭然です。
日付部分は外部のJavaScriptファイルによって制御されており、その中で閲覧者の端末の現在の日付を取得し、自動的に“2日後”を締切として表示するように設定されているのです。
つまり、この「締切日」はすべての閲覧者に対して同じく、今日から2日後になるよう作られており、実際に締切が迫っているわけではありません。
当然ながら、このような実態のない“期限演出”も、景品表示法における不当表示とみなされる可能性が高いです。
これらの表現を見るだけでも、このオファーがいかに信頼性に欠け、ユーザーの不安や焦りを煽ることを目的とした仕掛けだらけの内容であることがわかります。
トレナビ 特定商取引法の表記
以下、「トレナビ」の「特定商取引法に基づく表記」に記されている項目です。
運営者 | 株式会社RuckUp |
所在地 | 東京都渋谷区道玄坂1-10-8 渋谷道玄坂東急ビル2F-C |
連絡先 | mail@tradenabi.com |
受付時間 | 平日10:00–19:00(土日祝日を除く) |
URL | https://ruck-up.jp/ |
特商法にあるのは上記のみ。
価格の表示、連絡先電話番号、担当者名など必要な項目が大きく欠けています。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
株式会社RuckUpとは?
販売業社である「株式会社RuckUp」について調べてみました。
株式会社RuckUp
・法人番号指定年月日 令和4年(2022年)9月6日
・法人番号 9030001149965
・本店又は主たる事務所の所在地 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号渋谷道玄坂東急ビル2F-C
所在地にあるのはバーチャルオフィス(GMOオフィスサポート 渋谷オフィス)ですので、この場所に営業実態はありません。
さらに、「株式会社RuckUp」は、法人番号指定から3年未満の会社ですが、すでに2度の転居を行っています。

引用元:https://toukibo.ai-con.lawyer/search-service/result/9030001149965
昨年11月に現在のバーチャルオフィスに住所変更を行っており、翌月に「トレナビ」のドメインを取得していることになります。
「トレナビ」の公開に合わせて、所在が曖昧になるバーチャルオフィスへ移転したようにも見えるのですが、いかがでしょうか?
トレナビに登録してみた

セールスページから誘導された「トレナビ」というLINEアカウントに登録すると、最初にアンケートが送られてきました。
アンケートに答えた後は、海外FX業者「FXTF」での口座開設を促されます。

ここで少し違和感を覚えるのは、口座開設の手順の中で、なぜか特定のX(旧Twitter)アカウントの投稿が紹介される点です。
Trader Kaibeの特定ポストへ誘導される
誘導されたのは、「Trader Kaibe」による、以下のポストです。

引用元:https://x.com/K_FLASHES/status/1862419347832283449
FX自動売買(EA)のプレゼントと引き換えに、「FXTF」での口座を促すポストです。
口座開設リンクURLには識別用コードが付いていますし、リンク先ページタイトルも「Trader Kaibe × FXTFタイアップキャンペーン」となっていますので、ユーザーがこの投稿から口座開設を行うと「Trader Kaibe」側に報酬が発生する仕組みになっていることは明らかです。
「トレナビ」は、「Trader Kaibe」本人によるオファーなのでしょうか?
もしそうであるならば、なぜこのような回りくどく、かつ広告表示義務などの観点から違法性の疑いがあるようなセールスページを経由させて、自身の投稿にユーザーを誘導しているのでしょうか?
もっと透明性のある誘導方法も取れるはずですが、あえてグレーな手法を用いているとすれば、意図的なものを感じざるを得ない人物です。
Trader Kaibeについて
「トレナビ」と「Trader Kaibe」に関係性があるのか、それとも「トレナビ」側が勝手に誘導しているのかは分かりませんが、ここで登場した「Trader Kaibe」について、少し触れておきたいと思います。
2017年には、FXトレード大会「ロビンスカップ」で自作のEAを用いて準優勝を果たし、FX関連の書籍の執筆や、雑誌、ラジオ、YouTubeなどのメディア出演もこなすトレーダーです。
X(旧Twitter)では2.3万人のフォロワーを抱えるなど、高い知名度を誇ります。
参照元:https://x.com/K_FLASHES
直近のポストでは、”『片手間のFXでお小遣い○万円!』みたいな誘い文句は、決して信じるな。”など、真っ当なコメントも見られるのですが、一方で、過去にはそうした誘い文句に近い情報商材に関与していた経歴もあり、自身の発言と行動に矛盾を感じざるを得ません。
これまでに関わってきた商材
「Trader Kaibe」は、これまで複数の商材に関わってきました。
- Next 1nnovator
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Next 1nnovator杯なる存在自体が怪しい大会で優勝したシステムを無料配布するというもの。Trader Kaibeは、ゲストコメンテーターという位置づけで動画出演。
- FX貴族Revival
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1日1回5分の作業で、7日毎に91,000円の収入が得られるとうたっていたFX自動売買ツール。Trader Kaibeは、ナビゲーターとして動画出演。
- 在宅副業投資
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90日後に月10万円を稼げるようになるという投資案件。Trader Kaibeは、「考案者」として動画出演。
各案件内容について、ここで詳しくは掘り下げませんが、どれも信頼度が低くとても稼げるとは言えないようなものです。
これまでの「Trader Kaibe」の関与商材を見てみると、「トレナビ」もまた、彼が関わっている可能性が高いと推察できるのではないでしょうか。
トレナビの総評

セールスページに多くの広告表示に関する違反が見受けられることからも、この案件への登録には十分な注意が必要です。
また、誘導先であるXの「Trader Kaibe」に関しても、投稿内容と過去に関与してきた案件との間に矛盾があり、信頼性に疑問が残ります。
「トレナビ」は、シニア層などのFX初心者をターゲットにしていると考えられます。(経験者であれば怪しすぎるので参加しません)
しかし、「Trader Kaibe」のXポストには以下のようなものがあります。

https://x.com/K_FLASHES/status/1614253368729559042
「トレナビ」は海外FXである「FXTF」を紹介していますので、このポストと大きく矛盾しています。
なぜ「Trader Kaibe」が、自身の主張とかけ離れた内容の商材に関与してきたのか、その真意は定かではありません。
しかし、たとえ有名トレーダーであったとしても、その肩書きだけで、無条件で信用するのは危険です。
商材の良し悪しを判断する場合、一つの情報だけに頼らず、複数の情報源を参考にしながら、冷静かつ客観的に判断する姿勢が大切です。
以上、「トレナビ」についてでした。