本日は、「ぬるま湯デザイン塾」というWEBデザインスクールについて取り上げます。
「ぬるま湯デザイン塾」が悪いというわけではなく、個人的な意見を述べたいと思います。
スクールの入会を考えている方の参考になれば幸いです。
しかし、最近のChatGPTやAIなんかを見ていると、デザイナーやコーダーの仕事内容は様変わりするでしょうから、こういったスクールも変わっていくのかもしれませんね。
Twitterに多くのWebデザイナーが誕生(※レベルはそれぞれ)
ここ数年、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、「Webデザイナー」や「WEBエンジニア」を目指す方が物凄い勢いで増えてきたように思います。
Twitterでも、「Webデザイナーと繋がりたい」「Webデザイン勉強中」なんていうハッシュタグがついたツイートを毎日目にします。
最近は、だいぶ落ち着いてきたようですが、未だにこういったタグはタイムラインに流れ込んできます。
オンラインスクールの卒業生が、「Webデザイナー」の肩書で営業を行っている様子も伺えますが、スキル的に大丈夫だろうか?と、老婆心からこちらが心配になってしまうことも。
まぁ、名乗るのは自由ですし、私に心配されたところで、といった感じでしょうが。
中には、短期間の学習ながら(元々の才能と相当な努力で)、お金をいただけるレベルまでいっちゃう猛者もいますが、そんな人は本当に一握り。
経験を積んでいけば、デザイナーとして独り立ちできそうという方ももちろんいらっしゃいます。
しかし、申し訳ないですが「大丈夫かな?」「仕事になってるかな?」という方のほうが多い印象です。
複数のオンラインスクールが炎上したことも
デザイナーやエンジニアを目指す人が増えたことで、オンラインスクールも一気に増えていきました。
スクールのレベルもバラバラで、しっかりしたものからスクールと呼べないようなものまで玉石混淆。
酷いところだと他者サイトのコンテンツをパクっただけなんていう、本当にゴミみたいなスクール(スクールなんて呼べないレベル)もあって、被害者の会が結成されたりもしていました。
もちろん、簡単に「デザイナーになれる」「稼げる」と煽るだけ煽って、しっかりとしていないスクールが悪いのですが、“高額な受講料を支払って低クオリティのものを掴まされる”という構図が、まるで、“稼げない情報商材を掴まされてお金を失う弱者”と重なってしまうのは私だけでしょうか。
Web業界の人材不足は解消されたのか?
万年人材不足のWEB業界、ここ数年のデザイナー・エンジニア増殖で補われたかと思いきや、あまり解消された感も見えません。(少なくとも私の周りでは)
Web制作会社は、代理店や企業様がクライアントとなっていることが多く、デザイナーに求められるスキルも高く、相変わらず人材不足は続くといったところです。
逆にスキルや実績があれば、選択肢も多く条件の良い環境で働くことが可能なんですけどね。
では、ここ数年で増えたWebデザイナーはどこへ?
Webデザイナーは、思ったより稼げなくてキツイ仕事
これからWebデザイナーを目指そうという方に夢のない話をして申し訳ないのですが、Webデザイナーはメチャメチャ稼げる仕事ではないと思います。
もちろんスキルのあるデザイナーなら給与は高くなりますが、駆け出しだとキツイ割に低賃金なんてことはザラです。
いくつかのオンラインスクールは、いきなりフリーランスになって「ココナラ」や「ランサーズ」で案件獲得することを勧めるようですが、ものすごく無責任だなと感じてしまいます。
全体的に価格が安い「ココナラ」や「ランサーズ」で、スキルのない駆け出しが獲得できる案件なんて、もう価格崩壊どころじゃありません。
それなのに、無責任なスクールが「ココナラ」や「ランサーズ」を勧めるものだから競合は増えるばかり。
スキルもあって、実績を積み重ねてきている人であればフリーランスになった方が、年収UPも望めます。
向き不向き、フリーランスなりの大変さはもちろんありますが。
悲観的なことを述べてしまいましたが、悪いことばかりではありませんよ。
モノづくりが好きであればWeb制作は楽しいですし、クライアントに感謝されたときの喜びはひとしおです。
ぬるま湯デザイン塾とは
前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ本題に入ります。
「ぬるま湯デザイン塾」のカリキュラムは90日で「基礎」「実践」「サポート」といった組み立てになっているようです。
- 基礎編
-
事前準備:ツールやソフト、WEBデザインの概要、HTML/CSSを読み解く力
- 実践編
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ランディングページやオリジナルサイトの制作、実務経験を通して圧倒的ポートフォリオ作成を目指す
- サポート
-
修了後も講師との専用チャットでサポート、フリーランスになるまでを仲間としてアドバイス
HTML/CSSを読み解く力とあるように、HTML/CSSを学ぶわけではなく概要を理解するといったことのようです。
HTML/CSSは、ある程度書けるようにしておかないと、なかなか仕事には繋がらないと思うけど。
実践編では、サイト制作学習とポートフォリオ作りを同時に進めるようですが、ここの部分が最もヘビーになりそうですね。
最終ゴールは、やはりフリーランスを目的としているようですね。
修了後サポートが有るのは心強いですが、フリーランスになるまでではなく、なってからもアドバイスがほしいところです。
制作会社に就職できる程のスキルは身につかないってことかな?
受講するにはセミナー参加が必須
「ぬるま湯デザイン塾」は、一般募集を行っておらず、セミナー参加が必須となっています。
理由については、以下
なぜなら、このプロジェクトは限られた人数でないといわゆる「個別指導」することは難しいと思われるからです。
引用元:https://l-works.design/contact/
無制限に質問できる形なので僕たちの時間、労力、気力がかなり取られる事になります。お互い命を削って本気で業界を勝ち残っていく仲間として受入れています。そのため、本当にレベルアップしたいと思っている方、今まで色々なスクールを試したけどダメだった方、変わりたいと強く考えている方だけに是非参加いただきたいと思っています。
本当に、きちんと「個別指導」してくれるのであればいいですよね。
特定商取引法の表記
会社名 | 株式会社Live出版 |
代表取締役 | 尾上 博輝 |
所在地 | 〒101-0042 東京都千代田区神田東松下町41-1 |
連絡先 | Tel : 03-5295-7355 E-mail : info@live-publishing.jp |
上記の特商法は主なものを一部抜粋して掲載しています。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられています。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
株式会社Live出版とは?
販売会社である株式会社Live出版について調べてみました。
・法人番号指定年月日 平成27年(2015年)10月5日
・法人番号 5010001157098
(会社設立年月は不明)
株式会社Live出版のホームページは?
こちらが株式会社Live出版のホームページです。
ホームページを見ると、提供しているサービスは「書籍出版事業」「JV(ジョイントベンチャー)事業」「コンサルティング事業」「在宅Webデザイナー就業支援事業」となっています。
WEBデザイナーのスクールを運営しているのに、自社でWEB制作を請け負っていないのでしょうか。
てっきり、WEB制作の実績がある会社だと思ったのですが。
株式会社Live出版の所在地は?
特商法に表記された住所(東京都千代田区神田東松下町41-1)をGoogleストリートビューで確認してみると以下の建物が表示されます。
エイチワンオー 神田というレンタルオフィスが所在地となっています。
尾上博輝とは
株式会社Live出版代表であり塾長の尾上博輝とは、どんな人物でしょうか?
- 1986年生まれ茨城県出身
- 出版社にDTPオペレーターとして就職
- 幅広い出版業務に従事した後、WEB広告代理店や、出版物、教材を出版、販売を行う会社に転職、デザイナーとしても活動
- 自身が作成したLPで、累計10億円以上売り上げ、株式会社Live出版の代表取締役に就任
- 「売上の上がるLP」「反応・反響が取れるクリエイティブの作成」を得意とする
- 経営者であり、現役のデザイナー
上記プロフィールは、公式サイトとPRTIMESにあるページから抜粋したものです。
PRTIMESでは、「ぬるま湯デザイン塾と尾上博輝塾長の評判」といった、アンケート結果を掲載したページですが、自社で出したリリースですので、はっきり言って全く参考になりません。
デザイナーとしての実力というより、マーケティングの実力で会社代表に就任したのかな?
ぬるま湯デザイン塾のカリキュラムは物足りない?
WEBデザイナーになるためのコースカリキュラムですが、こちらのページでLessen項目を確認できます。
Lessenの内容までは詳しく分かりませんが、デジハリなどのカリキュラムとはちょっと違うなということが分かります。
特別編についてはアフィリエイト教材や情報商材のカリキュラムかと見間違えるほど。
- 基礎編
-
- Lesson1 事前準備
- Lesson2 Webデザインの概要
- Lesson3 Webデザインの原則
- Lesson4 HTML/CSS
- Lesson5 WIX
- Lesson6 Photoshop
- 実践編
-
- Lesson7 ココナラで稼ぐ
- Lesson8 モバイルデザイン
- Lesson9 WordPress
- Lesson10 ランディングページ
- Lesson11 お仕事サポート
- 特別編
-
- おすすめツール紹介
- WordPress番外編
- Photoshop番外編
- ブログ記事のアーカイブ
- スペシャル講演会
- 更に上を目指すための特別課題
- ヒートマップページ解析
- 特別セミナー
- Webマーケティング
- コピーライティング
コーディング技術は習得しておいたほうが良い
例えば、Lessen4のHTML/CSS、受講者のレビューなどを読むと、本格的なコーディングを学ぶわけではなく概要を理解するだけのようです。
はっきり言って概要を学ぶだけでは、Webデザイナーとして生き残るのは、かなり難しいでしょう。
コーディングはコーダーさんにおまかせというWebデザイナーであっても、基本的なコーディングが出来るor出来ないでは大きな差があります。
Webデザイナーを目指すなら、コーディング技術、基本的なJavaScript、jQueryくらいは抑えておいたほうがいいです。
この技術を抑えているデザイナーであれば、仕事の幅も広がりますし案件の受注もしやすくなるでしょう。
WIXを使ったノーコードの案件は少ない
なぜHTML/CSSの概要だけ学ぶのかは、Lesson5のWIXを利用するからですね。
WIXは、専門的な知識がなくてもWEBサイトが作れる、いわゆるノーコードツールと呼ばれるものです。
コーディングが出来なくても直感的にサイト構築が出来るので、世界中で利用されています。
とても素晴らしいツールなのですが、カスタマイズ性が低かったり長期運用には向いていないため、取り入れづらいという欠点があります。
短期運用のLPや、予算の少ない個人商店のサイトなどであれば問題ないでしょうが、案件としてはあまり聞いたことがありません。
Web制作現場で利用するノーコードツールだとデザイン性の高いSTUDIOのほうが需要があるのではないでしょうか。
ただ、ノーコードツールといっても基本的なコーディング知識がないとSTUDIOの導入は厳しいです。
デザインツールはPhotoshopだけ?
カリキュラムを見ても、デザインツールとして利用するのはPhotoshopだけのようですね。
Illustratorは、学ばないのでしょうか?
イラストなどを作成する場合、Illustratorは必須です。
クライアントから提供されるデータがIllustratorデータなんてことも頻繁にあります。
最低でもPhotoshop、Illustrator、できればXDまで抑えてほしいところです。
IllustratorとPhotoshopでは出来ることが違うので、両方を使えるほうが表現の幅が広がります。
塾長は元DTPオペレーターとのことですから、Illustratorをバリバリに使用していたはずなのですがナゼでしょうね。
WordPressもコーディング知識は必要
Lessen9のWordPressについても、コーディング知識があったほうが良いです。
仕事として案件を受けるのであればコーディングは必須知識です。
htmlやphpの知識が浅いままにWordPressを触って、修正ができないくらいグチャグチャになってしまうのは珍しくありません。
クライアントから修正やカスタマイズ依頼が来たときに対応できないようでは、Webデザイナーとして失格です。
ぬるま湯デザイン塾の料金は?
ぬるま湯デザイン塾の料金ですが
入会金:50,000円
講座参加費:348,000円
90日間で、398,000円となります。
3ヶ月でこの金額はなかなか強気ですね。
WEB関連スクールとして老舗のデジタルハリウッドの「Webデザイナー専攻」コースは、495,000円と10万円ほど高くなりますが、受講期間は6ヶ月です。
もちろんコーディングの授業もあります。
【ネタバレ】口コミやレビュー
ぬるま湯デザイン塾についてネット検索してみると、参考にできそうなコメントやレビューがありましたので、引用してみました。
ノーコードでのWeb制作をゴール地点としているため、卒業後の受注可能案件は少ない。
引用元:コエテコcampus
(中略)
卒業後に受注可能な案件としては、ノーコードを用いたWeb・LP制作までになる。illustratorの講義はありませんのでDTP系デザインは難しいです。
今現在、卒業して5か月経ちました。
引用元:https://jinsmamablog.com/nurumayujyuku/
結論からいうとWebデザイナーとしてバリバリ仕事が出来ているかというとそうではありません。
現状はココナラではゴールドランクではありますが、現状はあまり仕事は簡単にもらえません。
「ぬるま湯デザイン塾」で学んでも、月に稼げて1万〜数万程度といったところではないでしょうか。
副業として、毎月数万円を稼ぐために取り組む分には良いのかもしれませんが、受講料に見合っていない気がします。
ぬるま湯デザイン塾の総評
管理人の意見としては、オススメできません。
Webデザイナーを目指すのであれば、別のスクールのほうが良いと思います。
初心者で、ある程度の金額を支払うのであれば、デジハリやデジLIGなどのWeb制作界隈で有名なスクールなどと比較してみたほうがいいと思います。
お金かけられないよ!という方は、ネットとPCとやる気さえあれば、ある程度の勉強は可能です。
ネット上には、無料で学べる場所がたくさんあります。(こことか)
progateの無料プランでコーディングに触れてみて、やっていけそうか確認してみるのもいいですし、You Tubeなどでデザインツールの扱い方を勉強することも出来ます。
Webデザイナーになってからも学ぶことがたくさんで、結局、日々勉強の連続です。
「簡単」「誰でも」なんて言葉は、幻想です。
どの勉強方法でも、それなりの覚悟を持って、ある程度の時間を割いて真剣に取り組まなければモノにはならないでしょう。
逆を言えば、それなりに努力すればWeb制作を仕事にできるということなので、モノづくりが好き、デスクワーク好きなんて人にはオススメの職業です。
以上、「ぬるま湯デザイン塾」について個人的な意見でした。