本日の検証案件は、「フロント」なる副業です。
未経験から3ヶ月で毎月30万円を目指すことを掲げていますが、調査の結果、そのような利益を得られるとは思えない副業でした。
入口となるセールスページについて
まずはセールスページについてです。
本案件は、以下ページより誘導されました。

引用元:https://ltdsurge.com/lp/
引用元:https://ltdsurge.com/lp/
- スマホ1台あればOK!
- 未経験から3ヶ月で毎月30万円を目指す
- 令和最新の超!穴場副業
- 1日たった30分で10万円以上の収入を得ている方が続出しています!!
- 安心サポート 登録無料 案件数業界最多
根拠のない「楽して稼げる」アピール、抽象的で中身のない説明、「安心」「無料」といった不安を逆手に取った表現など、怪しい副業案件でよく見られる典型的な広告文が並びます。
このページには「特商法の表記」がなく、運営組織がわからないようになっています。
しかしながら「ltdsurge.com」は、過去に「合同会社Surge」という法人のホームページであったことから、運営者が「合同会社Surege」であることが推測できます。
(現在、合同会社Surgeのホームページは削除されています)
こちらのページからLINE登録を行うと、LINEメッセージから、さらに別ページへと誘導されます。
LINEから誘導される申込みページ
LINEメッセージから誘導されるページには、「電子書籍を購入しネットビジネスを始めよう!」の文言とともに「後払いで申し込む」ボタンが設置されています。

引用元:https://ltdsurge.com/df/
ページタイトルは「フロント」となっていることから、副業の名称は「フロント」だと思われます。
こちらのページ内容を確認しても、どのような副業なのか内容を把握することは出来ません。
それどころか、セールスページでは無料と書いてあったのに、有料の電子書籍を購入しないとビジネスを始められないことになっています。

引用元:https://ltdsurge.com/df/
「後払い」ということで「無料」と表現しているのでしょうが、後払いであっても有料な時点で「無料」という表現は適切ではありません。
「セレクト」 サーバー・ドメイン情報
以下、2025年7月12日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | ltdsurge.com |
サーバーIP | 85.131.207.89 |
ISP | Xserver Inc. |
ドメイン取得日 | 2025年2月17日 |
ドメインレジストラ | Netowl, Inc. |
ドメイン取得から5ヶ月ほどです。
ltdsurge.comは、「合同会社Surge」の会社ホームページドメインとして使用されていましたが、検証時点では会社ホームページは削除されています。
「セレクト」 特定商取引法の表記
以下は、申込みページの「特定商取引法に基づく表記」に記載された内容です。
販売責任者 | 北野 剛 |
受付時間 | 10:00〜18:00 (平日のみ) |
お支払い方法 | クレジットカード決済、銀行振込 |
販売価格 | 弊社販売ページをご参照ください。 |
商品引き渡し期間 | 代金決済完了後、最大3営業日以内に当社よりお送りする電話メール内URLよりダウンロード |
返金・クーリングオフについて | 当該商品は、情報、デジタルコンテンツという性質上、データの破損を利用した場合を除く、返品及び返金をお受けできませんので、ご注文前に商品内容やご利用環境をご十分にご確認の上、お申し込みください。 |
「電話番号」や「メールアドレス」など、本来記載が義務付けられている連絡先情報が見当たりません。
また、現在は個人が提供するオファーのように見えますが、数ヶ月前には全く異なる内容の「特定商取引法に基づく表記」が掲載されており、運営体制に一貫性がありません。
以下が、過去に記載されていた特商法の内容です。
販売責任者 | 合同会社Surge(Surge net) |
運営責任者名 | 豊田 太 |
所在地 | 東京都足立区関原3丁目2−4 |
メールアドレス | client@ltdsurge.jp |
以前は、法人名やメールアドレスが明記されていましたが、現在は販売責任者として、異なる個人名が記載される形に変更されています。
特商法の表記がなぜ変更されたのか、その理由は明らかではありませんが、副業検証系のブログなどで本案件が取り上げられるようになったことが、影響している可能性も考えられます。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
合同会社Surge とは?
以前、販売事業者として記載されていた「合同会社Surge」について調べてみました。
合同会社利点(旧社名:合同会社Surge)
・法人番号指定年月日 令和6年(2024年)8月15日
・法人番号 9180303006230
・本店又は主たる事務所の所在地 東京都足立区関原3丁目2番4号-203
「合同会社Surge」は法人番号が指定されてから1年未満の比較的新しい法人ですが、すでに1度の住所変更と社名変更を行っていることが確認できます。

引用元:https://toukibo.ai-con.lawyer/search-service/result/9180303006230
現在は「合同会社利点」という会社名に変更されています。
今年の春頃に、いくつかの副業検証ブログで本案件が取り上げ始められた時期と、会社名が変更されているのは何かの関連性があるのではないでしょうか。
合同会社利点(旧社名:合同会社Surge)の所在地について
法人登記住所(東京都足立区関原3丁目2番4号-203)をGoogleストリートビューで確認すると、5階建ての賃貸マンションが所在地であることが分かります。
2階にあるのは、19㎡ほどの1Kの部屋です。
本当に、単身者向けの賃貸マンションに法人が入居しているのでしょうか?
副業を始めるのに電子ブックを購入させるものは要注意

情報商材を購入して副業に取り組むのは否定しませんが、スマホ副業などをうたい、あ電子マニュアルを購入させるものについては注意が必要です。
こういった副業については、消費者庁のホームページでも再三の注意喚起が行われています。
簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起を行いました。
引用元:https://www.caa.go.jp/notice/entry/028350
「スマホで簡単 月収100万円」、「定型文を送信した分だけ報酬発生」などとうたう副業のマニュアルを購入させ、ライブ配信希望者のエージェントになるためとして高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起を行いました。
引用元:https://www.caa.go.jp/notice/entry/030975
1日の作業時間が10分程度の簡単な作業で稼ぐことができるなどと勧誘し副業のガイドブックを消費者に購入させ、その後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起を行いました。
引用元:https://www.caa.go.jp/notice/entry/030231
簡単な作業をうたい、安価なガイドブック(副業のマニュアルPDF)を購入させた後、高額なサポートプランに勧誘する副業は数多く存在します。
しかしそれらの多くは、サポートプランを受けても思ったような収益を挙げられないものばかりです。
スマホ副業「フロント」の総評

フロントの副業の具体的な内容は確認できていないものの、特商法の表記から法人名が削除されている点や、以前記載されていた法人が社名変更を行っている事実を踏まえると、信頼性や透明性に不安を感じざるを得ません。
こうした変更が何を意図して行われたのかは不明ですが、批判や調査を避けるための対応である可能性が高いと考えられます。
安価なマニュアルを購入させた後、稼げる見込みの薄い副業を提示し、高額なサポートプランへ誘導するのは、よく見られる手口です。
中には、遠隔操作アプリをインストールさせ、消費者金融での借り入れを強要するケースもあります。
国民生活センターサイトでも注意喚起が行われていますので、こういったものへの参加を考えたことがある方は、ぜひ一読してみてください。
相談事例を見ると、「稼ぐためのサポートをする」などと言われて、広告にはなかった高額なサポート契約を勧誘されるケースが目立ちます。その際に、「簡単に稼げる」「もうかる」「借金してもすぐに元が取れる」などと言われることがありますが、簡単に稼げるようなうまい話はありません。また、借金をすぐ返せる保証は一切ないほか、事業者に解約や返金を求めても突然連絡が取れなくなり、トラブルの解決が困難になる恐れもあります。勧誘トークをうのみにせず、冷静によく考えましょう。
引用元:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230607_1.html
以上、スマホ副業「フロント」についてでした。