本日の検証案件は、株式会社誠商事の「寄付型クラウドファンディング」です。
セールスページでは、「スマホ副業」や「クラウドファンディング」といったワードを使っていますが、一般的なクラウドファンディングとは大きく異なり、株式会社誠商事の「寄付型クラウドファンディング」は、利用者にとって非常にリスクの高いものです。
寄付型クラウドファンディング セールスコピー
まずは、ページ内のコピーをいくつか拾ってみましょう。
引用元:https://idea-for-career.biz/
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「月30万以上を確約」などと書いてありますが、そのようなことはありません。
「寄付型クラウドファンディング」の流れは以下のようになっています。
本来のクラウドファンディングは、プロジェクトを支援したい人々がインターネットを通じて資金を提供し、その見返りとしてリターンを受ける仕組みです。
資金提供者がリターンとして商品やサービスを受け取る「購入型」、社会貢献プロジェクトなどに資金を提供し、リターンを求めない「寄付型」、出資したお金がリターンとして戻ってくる可能性がある「投資型・融資型」などがあります。
しかし、「寄付型クラウドファンディング」と称する今回の副業では、検証の結果、こうした要素が全く見られませんでした。
寄付型クラウドファンディング サーバー・ドメイン情報
以下、2025年3月11日時点のサーバー・ドメイン情報です。
確認できたセールスページは、異なるドメインの2ページです。
ドメイン | idea-for-career.biz |
サーバーIP | 2400:8500:1301:162::18:1, 163.44.177.18 |
ISP | GMO Internet,Inc |
ドメイン取得日 | 2024年10月1日 |
SSL証明書の種類 | Let’s Encrypt |
昨年の10月にドメイン取得されていますので、このページが公開されてから半年経過していないことになります。
続いて、もう1つのドメインです。
ドメイン | new-begin-cf.jp |
サーバーIP | 2400:8500:1301:162::17:1, 163.44.176.17 |
ISP | GMO Internet,Inc |
ドメイン取得日 | 2024年9月2日 |
SSL証明書の種類 | Let’s Encrypt |
こちらのドメインは、昨年9月の取得です。
この他にも、異なるドメインで同じようなページが公開されている可能性も考えられます。
どちらのドメインも、ドメイン取得者情報は秘匿されています。
寄付型クラウドファンディング 特定商取引法の表記
以下「特定商取引法に基づく表記」に記載されている項目です。
会社名 | 株式会社 誠商事 |
住所 | 大阪府吹田市泉町2丁目22番2号 ウイング 101号室 |
代表取締役 | 垣畑 諴 |
特商法には、連絡先(メール/電話番号)が記載されていません。
さらに、返金条件はおろか、料金が発生するかどうかも不明のため、特商法として不十分です。
上記の特商法は主なものを一部抜粋して掲載しています。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
株式会社誠商事とは?
販売事業者である「株式会社誠商事」について調べてみました。
株式会社 誠商事
・法人番号指定年月日 令和3年(2021年)3月30日
・法人番号 9120901044100
・本店又は主たる事務所の所在地 大阪府吹田市泉町2丁目22番2号ウィング101号室
約4年前に設立された会社です。
検索してみましたが、企業サイトはおろか、めぼしい情報は見つからず、どのような業務を行っている会社なのか分かりません。
株式会社誠商事の所在地について
所在地である「大阪府吹田市泉町2丁目22番2号ウィング101号室」をGoogleストリートビューで確認すると、4階建てマンションが表示されます。
居住用賃貸マンションの1階が会社所在となっていますが、本当に約17平米の1Kマンションに法人が入居しているのでしょうか?
寄付型クラウドファンディングに登録した結果

検証のために「寄付型クラウドファンディング」セールスページにてメールアドレスを登録してみました。
メールに届いたURLをクリックすると、クラウドファンディングサイトへ誘導され、氏名年齢などの個人情報を入力します。
追加でメッセージが届き、詳しい説明もなく、「援助を受ける」場合は、クラウドファンディングサイトで身分証明書の提出を行うように求められます。
謎の事業者が運営する謎のサイトに身分証を提出するのは大変危険なので、ここで検証を終了したのですが、なぜか「出資者から◯◯万円が振り込まれた」との連絡が来ました。
数千万という大金を貰えるらしいです。
しかも、出金の手数料をギフトカードで支払えとのこと。
身分証の登録もしていませんし、見ず知らずの人から突然多額の資金が振り込まれることもおかしいですし、さらに手数料をギフトカードで支払うなんてこともありえません。
【総評】寄付型クラウドファンディングについて

「寄付型クラウドファンディング」と称するこの副業は、一般的なクラウドファンディングとは異なり、利用者にとって大きなリスクを伴うものです。
この手口は、一時期流行した「手数料をプリペイドカードで支払わせる」という手法の一つです。
過去にはニュースでも取り上げられ、一時よりは減少しましたが、現在でも形を変えて残っています。
各所から注意喚起が行われていますので、もしこのようなメッセージを受け取った場合は、公式の情報を確認し、決して個人情報を提供したり、金銭を支払ったりしないようにしましょう。
以上、株式会社誠商事の「寄付型クラウドファンディング」 についてでした。