本日の検証案件は、完全自動売買プラットフォーム「AI Brain」です。
なんでも、2026年の全世界一般公開に先駆けて無料モニターを募集しているのだとか。
AI Brain セールスコピー
まずは、セールスページの主なコピーをピックアップしてみます。
引用元:https://aibrain-offer.com/
- わずか60秒。AIに指示するだけで日給10万円確定
- スマホ一台完全自動
- 2026年全世界一般公開に先駆け無料モニター会員募集
- 294名/295名中〈残り枠1名様のみ〉
- 世界初「生成AIコンテンツ」完全自動売買プラットフォーム
- 商品制作から売買マッチングそして販売契約および手続き代金受取りまでフルオート
何で利益を上げるかを特定することはできませんが、ページ内の画像を見たところ「AIを使って何らかの画像を作成」し、「海外ユーザーへ販売」するビジネスであることが予測できます。
根拠のないNo.1表示
セールスページにはいくつか気になる点がありますが、なかでも特に目立つのが「根拠の示されていないNo.1表記」です。

引用元:https://aibrain-offer.com/
「2025年注目サービスNo.1」「投資家が出資したい企業No.1」「モニター利用収益率No.1」といったようなNo.1表現が使用されています。
No.1という表示をする場合、どの期間でどのような基準で、などの根拠や出典を提示しなければなりません。
しかし、そういった記載はページ内のどこにも見当たりません。
これは、あきらかな不当表示で、景品表示法違反にあたります。
これらのNo.1表現が事実であるならば、出典を明らかにするはずです。
そういったものがない時点で、この情報に信頼性はありませんし、事実ではない可能性が高いでしょう。
怪しい「残り枠1名」という表記
No.1表記の他にも、「残り枠1名」といった表現も問題です。

引用元:https://aibrain-offer.com/
希少性をアピールすることで、「今、申し込まないと損だ」と感じるように促す表現ですが、事実でない場合、景品表示法に抵触します。
数日前に発見した時点で「残り枠1名」となっており、ページがクローズする様子もありませんので、手法としてこの表現を使用しているだけで、虚偽の可能性が高いと思われます。
AI Brain サーバー・ドメイン情報
以下、2025年6月10日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | aibrain-offer.com |
サーバーIP | 85.131.209.28 |
ISP | Xserver Inc. |
ドメイン取得日 | 2025年5月28日 |
SSL証明書 | SSLなし(暗号化なし) |
ドメイン取得から2週間も経っておらず、公開されたばかりのページであることが分かります。
AI Brain 特定商取引法の表記
セールスページ下には、「プライバシーポリシー」「特商法に基づく記載」というメニューがありますが、驚くことにリンク先が存在しません。
普通、これらのリンクは利用者の信頼性判断に関わる重要な情報です。
リンク切れのまま放置されているというのは、運営者の誠実さや透明性に疑問を抱かせます。
特に「特定商取引法に基づく表記」は法律で義務付けられている項目であり、未掲載であれば法令違反の可能性すらあります。
特定商取引法(特商法)とは
特定商取引法は、消費者トラブルがおこりやすい取引類を対象に、消費者の利益を守るために定められた法律です。
重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
特商法の表記があるから絶対安心というわけではありませんが、販売業務を行うにあたっては表記が義務付けられているので、特商法の表記がないものには注意が必要です。
特定商取引法(特商法) クリックで詳細表示
特定商取引法に基づいて、インターネット上の取引では
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
などの表記が義務付けらています。
参照:特定商取引ガイド
AI Brainに登録してみた

セールスページからメールアドレス登録を行ってみました。
その後、もちろんLINEアカウントの登録も促されます。
ちなみに、モニター枠が本当に1枠なのか確認するため、3つの異なるメールアドレスを登録してみました。
メール登録後に返信されるメールや案内されるページでは、セールスページとは異なるドメイン「perfect-ai.jp」が使用されています。
ドメイン | perfect-ai.jp |
サーバーIP | 103.246.177.245 |
ISP | New Century InfoComm Tech Co., Ltd. |
ドメイン取得日 | 2025年1月29日 |
SSL証明書 | SSLなし(暗号化なし) |
サーバーがあるのは台湾で、SSL化(暗号化)されていません。
海外(台湾)のサーバーを利用しているということは、法的リスクの回避(日本の法律の及ぶ範囲外にサーバーを置くことで、法的な追及を回避しやすくなる)、匿名性の確保(身元や所在地を隠しやすくなる)などを目的としている可能性があります。
ここまでの検証内容で、先日取り上げた「Personal」に非常に似ている点が多いことに気づきました。
たとえば、「セールスページは日本国内のサーバーを利用」、「登録後は海外サーバーを利用」、「無料モニターという名目」や、「特商法表記が存在しない」ことなど、いずれも既視感のある要素ばかりです。
最終1枠の無料モニターはウソ
メールアドレス登録後、アンケートに答えると抽選結果発表までの3日間、期待させるようなメッセージや、「稼げる証拠」、「利用者の声」などが送られてきますが、どれも信憑性に欠けるものばかりです。
あたりまえですが、登録した3つのメールアドレスには、まったく同じ内容のメッセージが届き続けました。
そして迎えた4日目。
「モニター当選結果」のメールが届いたわけですが、予想通り、登録した3つすべてのアドレスが見事に、モニター当選しました。
「残り1枠の無料モニター」が、ウソであることがはっきりしました。
AI Brainの仕組みがお粗末すぎ
モニター当選後に送られてきたURLにアクセスしてみると、ここでもビックリ。
システム内でAIを使って自動的に画像を生成するのかと思いきや、実際には「画像生成」は外部の無料サービスを使って行う仕様になっています。
つまり、高度なAI機能が組み込まれているわけではなく、誰でも使えるツールを利用させているだけ。
しかも、そこで作成した画像を「AI Brain」に送信すると、なぜか報酬が発生するという仕組みです。
正直、「この画像のどこに価値があるの?」「海外の誰が何の目的で報酬を払っているのか?」と疑問が尽きません。
無料サービスを使って作れる画像なのですから、自分で好みの画像を作ればいいだけで、素人が無料サービズで作った画像をわざわざ購入する人なんていないでしょう。
AI Brainの総評

報酬が発生したとしても、受け取れるとは思えません。
おそらく報酬を引き出すために手数料等を請求されるパターンではないかと思います。
特商法がない時点で、「AI Brain」がどこの誰によって運営されているのか、まったく不明です。
たとえ、運営元が明らかになったとしても、ここまで匿名性が高く、不透明な状態で提供されている「極めて怪しいオファー」を信用するのはとても危険です。
そもそも、きちんとしたビジネスであれば、運営者情報を隠す理由はありません。
稼ぐ仕組みも、とても稼げるような内容ではありませんし、このような不透明なオファーに、かかわるべきではありません。
以上、「AI Brain」についてでした。