本日は、いつもの副業観察ではなく、先日飛び込んできた「FXミラートレードで逮捕者」というニュースについて簡単にまとめておきたいと思います。
2024年11月、警視庁は、無登録のままFXミラートレードを運用していたとして4人を逮捕しました。
これは、国内で初めて『投資助言行為』が金融商品取引法に違反するとして摘発されたケースです。
ミラートレード(コピートレード)とは?
当ブログの読者に説明は不要かと思いますが、「ミラートレード」について簡単に説明しておきます。
ミラートレード(コピートレード)は、プロトレーダー、経験豊富な投資家の取引をリアルタイムでコピーし、自分の口座に反映させる仕組みです。
この方法は、市場分析などが不要で、自分が選んだトレーダーが儲かれば自分も儲かるため、手間が少なく初心者にも人気があるトレード手法です。
ただし、取引の透明性が低い、トレーダーの実績が正確に確認できない等の問題があり、思わぬ損失を招く可能性もあります。
また、こうした特性から、利用者の信頼を得た後に不適切な運用が行われるケースもあり、利用する場合は十分な注意が必要です。
逮捕報道から分かること
今回の逮捕については、報道各社からニュースが出されています。
岩井容疑者ら3人の逮捕容疑は23年2~11月ごろ、投資家5人から約800万円を預かり、「ミラートレード」の手法を使うなどして、国の登録を受けずにFX取引をしたとしている。
浜本容疑者は23年6~9月ごろ、岩井容疑者らが運営する「ミラートレード」のシステムを通じ、自身のFX取引を模倣させ、無登録で投資家3人に為替売買の助言をした疑いがある。
(中略)
警視庁は、事件で使われた「ミラートレード」のシステムの開発者からも、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで任意で事情を聴いている。引用元:https://mainichi.jp/articles/20241112/k00/00m/040/115000c
今回逮捕されたのは、FX取引プラットフォーム「APPOS Reward」の運営者および、そのプラットフォームを通じてミラートレードへ勧誘した人物です。
彼らは、約1500人から16億円以上の資金を集めていたとされています。
また、ミラートレードのシステムを開発した人物も警視庁によって任意の事情聴取を受けています。
これまで曖昧な扱いだった「ミラートレード」が、今回の事件で投資助言行為と見なされたわけですが、今後の裁判の結果次第では、SNS上で広がっているミラートレードやコピートレードへの勧誘が、法的に違法とされる可能性があります。
金融商品取引法と無登録営業の問題
今回の逮捕は、日本国内で「ミラートレード」が金融商品取引法(金商法)における投資助言行為と見られたた初の事例です。
金融商品取引法(金商法)と海外FX業者
金融商品取引法(金商法)は、日本の金融市場における投資家保護と市場の健全性を維持するために、証券取引や金融商品を取り扱う業者に対する規制を定めた法律です。
日本国内で金融商品取引業に当たる業務を行うためには、業務に関して金融庁の登録を受ける必要があります。
無登録で業務を行うことは、金商法に違反しているため、法的措置が取られる可能性があります。
規制の厳しい日本のライセンスを取得すると、ハイレバレッジ取引やゼロカットなどのサービス提供ができなくなるため、あえて日本のライセンスを所持していない海外業者がほとんどです。
これらの業者は、海外のライセンスを保持していることもありますが、ライセンスの信頼性や種類は様々で、すべての業者が信頼できるとは限りません。
日本の証券会社では、海外業者のようなコピートレードシステムは提供されていません。
そこで、多くの投資家が、海外プラットフォームのコピートレードを利用しています。
ちなみに、日本国内居住者が、海外証券会社で口座開設することは違法ではありません。
ただし、日本の法律は適用されませんし、何があっても自己責任です。
厳しい規制のもとで守られている日本では、金融サービスに対するリスク意識が低くなりがちです。
日本国内で証券会社と取引を行う場合、通常は不正行為から守られているという意識が強く、その結果、海外FX業者を選ぶ際に安易にサービス内容や、勧められたからというだけで判断してしまう人も少なくありません。
海外FX業者の規制回避と取り締まりの現状
そもそも、海外FX業者が日本国内居住者に口座開設をさせ、取引を行うことは違法です。
しかし、法的な規制がゆるいオフショアに拠点を構えている業者を、日本の法律で取り締まることは難しいわけです。
現状、金融庁が出来ることは、警告を行うことくらいです。
今回の報道を見ると、利用されていた取引プラットフォーム「APPOS Reward」は、海外業者を装っていたようですが、日本人により運営されていたオフショア法人だと思われます。
海外業者を装いつつ、実は日本国内に運営組織が存在していたという事例は過去にもあります。
今回の事件に関しても、「APPOS Reward」の運営実態や集客方法を考慮すると、初めから投資家をはめようとしていた可能性が高いと言えるでしょう。
運営実態が日本国内にあったことで、今回の逮捕に至ったと考えられますが、海外を拠点とするFX業者の場合は追求が難しくなります。
今後の動き
今回の逮捕では、FXミラートレード(コピートレード)が「投資助言行為」に該当する可能性が示唆された点がポイントです。
判決によっては、SNS等でコピートレードの勧誘を行っている人々も取り締まりの対象となる可能性があり、業界全体に対する規制が強化される可能性があります。
今後の進展に注目し、何か新しい情報があれば追記していきたいと考えています。