本日取り上げるのは「QuickTime」という海外の投資プラットフォームです。
まず、Appleのメディア再生ソフトに「QuickTime」というものがありますが、こちらは投資プラットフォームなどの金融サービスとは全く関係ありません
QuickTimeへの誘導経路
投資プラットフォーム「QuickTime」への誘導経路ですが、Instagramの広告やSNSをきっかけに始まり、その後LINEのオープンチャットに誘導される流れがメインのようです。
チャット内では、特定の人物が指導者のような立場で登場し、周りの参加者(実際はサクラと見られるアカウント)が盛り上げ役として加勢します。
そうした演出によって、初心者の不安を和らげつつ、甘い言葉で信頼を引き出そうとします。
最終的に、このチャット内で「稼げる手段」として「QuickTime」への参加をすすめられる形となりますが、肝心のプラットフォームの運営実態や金融ライセンスについての説明はなく、仕組みそのものが極めて不透明です。
このようにLINEオープンチャットを活用して参加者を囲い込み、利益が出ているような雰囲気を作り出しながら投資を促す手法は、近年多く見られる手口のひとつで、多額の被害が出ています。
QuickTimeについて
以下、2025年6月22日時点のサーバー・ドメイン情報です。
ドメイン | quicktimenow.net |
サーバーIP | 104.26.4.65 |
ISP | Cloudflare Inc |
ドメイン取得日 | 2025年3月30日 |
ドメインレジストラ | GRANSY S.R.O D/B/A SUBREG.CZ |
ドメインの取得日はわずか3ヶ月前であり、このサイトが立ち上がったばかりのものであることが確認できます。
また、ドメインの登録者情報は非公開となっており、一般的な投資サイトでドメイン取得者情報を秘匿することは不自然であるため、注意が必要です。
評価サイトでのquicktimenow.netに対する評価
quicktimenow.netの安全性を検証するために、評価サイトを確認してみました。
ウェブサイトの安全性や信頼性をスコア表示するサイト「Scam Detector」で、「quicktimenow.net」を評価してみたところ、100点中20.2という、かなり低いスコアとなっており、安全ではない、疑わしいという評価になっています。
同じく、安全性を評価するサイト「SCAMADVISER」での評価も、100点中31点となっており「疑わしい」という評価です。
QuickTime会社概要
「QuickTime」サイトに掲載されている会社概要から、会社名、住所が分かりました。

引用元:https://quicktimenow.net/company
運営会社は「QuickTimeEdge,Inc.」という法人です。
カリブ海にある小さな島国、セントビンセントおよびグレナディーン諸島(通称SVG)にあるオフショア法人のようですが、本当に実在する法人かは疑わしいところです。
SVGは、低税率かつ規制が緩やかなことから、オフショア法人の設立地として広く利用されています。
金融ライセンスの取得が容易で、実態のない運営会社でも法人登記が可能なため、怪しい投資系企業やFXブローカーの所在地として使われるケースも少なくありません。
SVGでの金融ライセン取得が容易であるにも関わらず、「QuickTimeEdge,Inc.」は金融ライセンスを取得していません。
会社所在地が怪しすぎる
所在地として表記されている住所は「1/F, First St. Vincent Bank Ltd Building, James Street, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines」です。
この住所は、セントビンセントおよびグレナディーン諸島に実在するビルではありますが、多くの海外業者が登記上の住所として使い回していることで知られています。
実際に、日本の金融庁が公表している「無登録で金融商品取引業等を行う者についての警告」においても、過去に何度も登場している要注意住所のひとつです。
つまり、この住所に法人が存在していても、実態のある事務所や正規の運営体制があるとは限らないということです。
「First St Vincent Bank」という銀行のビル1階が所在地となっていますが、Googleストリートビューでこの銀行を見てみると、看板はかかげられているものの、この場所に営業実態がないことが見て取れます。
検索してみると、2023年8月31日付けで銀行業務営業免許を取り消されていることが分かりました。
参照元 : https://www.eccb-centralbank.org/news/eccb-revokes-first-st-vincent-bank-ltd-s-banking-licence
さらにGoogleマップの口コミを確認すると、この住所を所在地とする会社から被害を受けたと思われる人たちの口コミで溢れています。
この場所には、すでに「First St Vincent Bank」という銀行は存在せず、数々の海外ブローカーが登録地として住所を使用していることは明らかです。
QuickTimeの総評

管理人自身も実際に「QuickTime」に登録してみましたが、トレード画面は非常に簡素で、リアルタイムで取引が行われている様子は一切確認できませんでした。
運営実態が不明なうえ、法人情報も確認できないため、「QuickTime」は、実在しない企業が提供する見せかけのプラットフォームである可能性が極めて高いと言えるでしょう。
このようなサイトに関われば、大切な資金や個人情報を失う危険性があります。
現在LINEオプチャなどに参加している方は、即座に利用を中止し、関わらないよう注意して下さい。
以上「QuickTime」についてでした。